プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

エヴァーメイデン 〜堕落の園の乙女たち〜 感想

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制作 :Liar-soft
ランク:A 
乙女の恋心に勝る甘露はこの世になし。
※後半はネタバレ有

はじめに

PC版の感想記事です。
 

攻略順

<実攻略順>
各Badエンド → Goodエンド → EXエピソード
 
<推奨攻略順>
実攻略順に同じ。
 

感想(概要)

〇先が気になるミステリーSF
パッケージの幻想的な雰囲気からは想像できないゴリゴリのSF作品で驚きました。謎の出し方と開示のタイミングが良く、ついつい先にが気になって読んでしまう引力があります。海原先生のねちっこい文章もいい味を出しています。
 
〇乙女の恋心
本作は恋愛に制限がかかっている世界観なのですが、それ故に禁忌たる「恋」をしてしまう彼女たちの胸中は甘露でした。しかも本作は多数のカップリングが存在するため、その分だけ極上の蜜というを味わえます。非常に美味でした。
 
〇個性の際立つ美しい画
相変わらず大石先生の画は強烈な個性がありますね。色彩豊かで幻想的な画風なのにどこか暗さを秘めている。本作でもその力を発揮して乙女たちを美しく妖しく彩っていました。
 

まとめ

同じタッグが手がけたフェアリーテイル・レクイエムは”猛毒”と言うべき内容だったので身構えていましたが、恋心の陽の部分が際立った“極甘の蜜”だったのは嬉しい誤算でした。カプ厨としての”魂”がこんなに疼いたのは久しぶりです。
 
ミステリーSFとしてみても伏線もしっかり回収されており、物語の起承転結もしっかりしているので出来が良いです。少々最後が弱いのが残念ですが、原画とライターの”我”もしっかり堪能できて良い作品でした。
 
※以下はネタバレ有感想です。
 
 
 
 
 
 
 

感想(ネタバレ有)

■1章

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多くの謎を主人公のアルエットと共に知っていく物語の入口。異様に”性”が消されている環境、ときおり垣間見える高度文明技術、恋に堕ちた生徒を拐かす「歪んだ乙女」。どれもプレイ中は好奇心をくすぐられワクワクしたものです。
 
しかし恋が禁忌たる世界にもかかわらず、あちらこちらで百合の波動を感じる…これはトキメキを覚えざるを得ないですね。一体どれほど耽美な百合の花が拝めるのか期待で胸がいっぱいでしたよ。
 
しかし改めて読み返すと伏線回収率の高さに驚きます。アルエットに既視感を覚える生徒の意味とか、レンの「後悔はしていないわ」の真意も、真相を知った後だと意味が理解できて面白いです。
 

■2章

<パヴォーネ×マコー>

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この章の主演はなんといってもこの2人。彼女らを差し置いて語ることはできませんね。面倒見が良い努力家とぐーたらな天才肌。やはり対極属性のカップリングはいい…お互いの長所が映えますね。
 
恋を知ってしまったが故に造化術が不調になってしまったマコー。それを気遣って距離をパヴォーネ。恋した人が離れてしまうことで不調と恋煩い加速し、果てには幻影に慰められてしまうマコーの姿は痛ましいです。
 
お互いがお互いを想っているのにそのせいですれ違ってしまう。本当にもう恋に翻弄される乙女心というやつは堪らないです。この甘露はいつ味わっても美味すぎる。戯曲で悲恋が人気になるのも道理ですね。
 
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夜空に表れる「ひまわり畑」に顕現する「ひまわりの乙女」。どちらも美しいスチルであり、特に前者は作中でも随一の美しさです。ですが真に印象に残ったのは「棺のマコー」なのですよね。
 
これを見たとき先の二人とは比較にならないキツさがありました。こんなにも私は彼女に感情移入してたんですね…。
 
どんな苦境でも他者を思いやることを忘れなかった彼女が死なねばならないのなら「大いなる乙女」は碌でもないものに違いない。本当に良かったですよ。この感情が誤りでなくて。
 

<ルク×アルエット>

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突然ですが青薔薇の髪飾りをつけたアルエットの笑顔ちょっと可愛すぎませんか?自分が贈ったものにこんな笑顔を返されたら好きになるのも仕方ないですよ。つくづく人たらしですね彼女。
 
「……馬鹿馬鹿しい」
 
マネキンに髪飾りを付けたルクから漏れたこの言葉が凄く好きなんですよね。無為なことを分かっていてもやってしまう。自らを律することが得意なルクであっても、気持ちが溢れるのを止められないって感じがいいんですよね。
 

■3章

<ロビン×キャナリー>

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ぶっきらぼうな自由人と優しいけど引っ込み思案なの対極性もさることながら、王子様とお姫様っぽい感じがまたいいんですよね。本作のカップリングでは最推しです。壁ドンが絵になり過ぎてる。
 
かなり情報が開示されたので考察が楽しかったです。2章から人造生命はちらついてまいしたが“機械人間(ホムレム)”という具体的な情報が出てきたのは驚きでした。

そのせいで「登場人物はホムレムで疑似転生している?」なんて考えていましたが、今思うと見事に誘導かけられてますね。まったく小癪な真似をしてくれます。(誉め言葉)

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この章はキャナリー視点が多めですが、彼女の乙女200%の心中は本当に最高ですね。ロビンの役に立ちたい、ロビンのためなら犠牲になってもいい、そしてその献身に気づいてほしい。いけませんね…この感情は美味すぎます。
 
ロビンも好きな子につい意地悪しちゃったり、機械鳥にロマンチズムな仕掛けをするのが彼女らしいなと思いましたね。普段はとても賢いのに恋には不器用…いいですねぇ!
 
とはいえやはりロビンの賢さには驚かされます。ほぼ0から答えに辿り着き最善手を打てるのは常人ではない。プラネリウム突破の文句なしのMVPです。そしてそれは彼女を心底から信頼するキャナリーがいるからこそできるんでしょうね。
 
相思相愛二人が収まった棺桶の画を見たとき、思わずこの言葉が洩れました「芸術」と。
 

<ルク×アルエット>

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なにをおいても疑似婚礼がヤバいです。この作品はカプ厨を殺すつもりで描いたとしか思えないイベントが多すぎる。ルクがアルエットに花冠を乗せるシーンなんて、脳がオーバーヒートして声にならない声を上げていました。

その後ルクが時計塔からアルエットを突き落としますが、ここはもう少しルクの心情が見えたほうが良かったですね。こっちはアルエットが死に過ぎて麻痺しているので、さほどインパクトがないんですよね。

…とプレイ中は思っていましたが、ルクは追い詰められると逆に感情を殺そうとするので、この状況では見えない方が自然なんですよね。うーん、難しい子ですねぇ…

 

■4章

<アルヴェラ×アルエット>

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衝撃としかいいようがありません。彼女の半生、中央の倫理、歪んだ乙女(ネヴァーメイデン)、そのどれもが驚愕の内容ですが、真に凄まじさを感じたのはアルエットにのみに向けられた”純粋な愛”です。

「私ならむしろ、その死に抗うわね」

この言葉は3章で「大切な人が死んだとき何を思うか?」とパヴォーネに問われたときの言葉です。当初は勝気な彼女らしい言葉ぐらいにしか思っていませんでした。まさかそれがすでに通った道だったとは…

わざわざルクに化けてまでアルエットの真意を引きずりだすその行為そのものが、自分が好きになったアルエットの意志を大切にしている何よりの証拠です。彼女が恋したのは大空を自由に飛ぶ鳥なのですから。(まぁBADENDの人形を愛でる孤独な彼女も趣はありますがね)

他者を顧みない彼女の行為は、褒められたものではないでしょう。それでも愛すべき者の心を何より優先したその在り方を私は否定しません。

<アルエット×ルク>

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大いなる乙女(エヴァーメイデン)の役割、プエラリウムの真実については概ね奇麗に着地していると思います。さんざん「肉の子」と蔑んだ自然出生者の方がメイデン適正が高いというのは皮肉が効いていいです。

アルエットの我儘でルクを神にしないというのは人間のエゴを前面に出した良い解答なんですが、それを受けるルクの感情が薄いのがどうしても結末として弱く感じてしまうのですよね。

他の乙女たちは皆すばらしい激情を味わせてくれたのに、最後の最後がこのような薄味では物足りないと感じでしまいます。母親の呪縛から解き放たれ、今までにない感情の爆発を見せてほしかったというのが正直なところですね。

氷の奥底に秘められたアルエットへの愛情はきっと極上の甘露でしょう。是非ともそれを味わいたかったです。

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