プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

ハピメア REGRET END 感想

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制作 :Purple software 
ランク:A 
 
「さよなら」を言わないために甘く幸せな悪夢を見る。
※後半ネタバレあり。
  • リメイク前は未プレイです。
  • REGRET ENDの追加シナリオはFDのみです。
  • 本感想にFDの内容は含まれません。

攻略順

<実攻略順>
弥生 → 景子 → 咲 → 舞亜 → 有栖(TRUE)
 
<推奨攻略順>
弥生 → 景子 → 咲 → 舞亜 → 有栖(TRUE)
※後に行くほど情報が開示されていく並びになっています。
 

感想(概要)

〇独特なテーマ「夢」
「夢」という設定を舞台装置がフル活用されており、とてもユニークな作りになっていました。特に「夢」と「現実」の境界が分からなくなる話運びは凄かったです。こんな不可思議な体験はそうできません。
 
〇一癖以上ある主人公とヒロイン
全員我が強い上に歪んだコンプレックスを抱いているのが、とても素敵でした。夢に触れるためキャラクターの内面を徹底的に見れるのが本作の一番の魅力だと思います。
 
△スローテンポ
率直にいってテンポは悪いです。ただこの進んでいるのか分からない間隔が、「夢」と「現実」の境界をあやふやにすることに一役買っているので、必要なテンポ感なんだとは思います。ただそのせいで人を選ぶ出来になっているのは否めません。
 

まとめ

「幸福な悪夢」というテーマを最大限に活かした設定、舞台、シナリオにより、唯一の無二の雰囲気を持った作品にしあがっています。
 
私は無駄に考えるのが好きなので苦ではなかったですが、難解で遅々とした展開なため人によっては退屈に感じても不思議ではないです。
 
人により評価が変わる作品だとは思いますが、「夢」という荒唐無稽を作品の「理」として取り込みロジカルに締めた本作の完成度を極めて高く評価しています。今からFDも楽しみです。
 
※以下はネタバレ有感想です。
 
 
 
 
 
 
 

感想(ネタバレ有)

■弥生・B・ルートヴィッジ

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猫かぶりが上手な金髪巨乳なハーフの先輩。頭の回転が速く夢世界にも速攻で適応できる優秀さと、本当に言いたいことは言えなくて抱え込んじゃう年相応な弱さを併せ持つかわいい人。
 

<夢世界での配役>

なぜか彼女だけ難解です。名前の”弥生”と”ウサギ”の格好から三月ウサギがベースだとは思いますが、時計は白ウサギですし、舞亜吸収後はハートの女王になります。
 
おそらく弥生は夢への適応力の高さからある程度役を選べるんじゃないしょうか?逆に意志力は低いので景子、咲のようにアリス作品以外の配役には成れないという推測です。
 

<ルート>

このルートはた弥生の諦め癖からくるムーブを破壊して回るのが醍醐味ですね。飄々としているヒロインのペルソナを破壊することで得られる素の感情は実に甘露でした。
 
一緒にいるために夢に引きこもろうする割に、最初の出会い覚えて貰えてたのが嬉しすぎて夢から醒めるしかないとか、後輩に退路断たれてようやく「離れるのヤダよぉ…」が言えるとか臆病な乙女が極まってます。でもこういう弱さが可愛いんですよね。
 
このルートの根底にあるのは「大切な思いは言葉にする」っていう思想なんだとは思います。個人的に本作には大事な思想が三つあると思っていてこれはその一つです。
 

■平坂 景子

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裸Yシャツを武器にしてくる学園長の姪な後輩。自分の価値観を大切にするあまり頑固すぎるところがありますが、最後まで自分の意志決定すること重要性を見誤らなかった意志の強さは本物です。
 

<夢世界での配役>

作中で言われている通りピーターパンです。ちなみに言われるまでアリス作品で探していたので「他作品アリなの!?」ってビックリしたのは秘密です。
 
後この夢は舞亜の「ちっくたっく」が余りにも可愛すぎる。こんなチクタクワニは反則だろ…。まったく全ルートで爪痕を残してくる恐るべき妹です。
 

<ルート>

アプローチは違えど弥生ルートと同じく「大切な思いは言葉にする」の重要性を説いていますが、その上で第二の思想として「譲れない思いを持つ」も同じぐらい重要視しているように感じました。
 
景子は「人の手の平の上で幸せになりたくない」という思想を最初から最後まで変えていません。自分が”何”を重要視しているのか理解することは難しいので、それを知っている景子は本当に強い人だと改めて感じます。
 
このルート幕引きが結構気に入っていて、不器用ながら娘とコミュニケーション頑張ろうとする景子パパとか、甘い飲み物を素直に頼めるようになった景子とか、夢で得た教訓を現実に持ち帰れてるのがいいなぁと思いました。
 

■蓮乃 咲

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業深き繋りの”妹”である幼馴染。好きな人のために妹を演じてそのために壊れることの出来なかった少女。本来の性格すら曲げて舞亜のエミュレートさえもする透への想いは好きという領域を超えた何かです。

<夢世界での配役>

作中で言われている通り茨姫です。白の着物と髪飾りだけだとちょっと気づくのは難しいですね。
十三番目の魔女を呼んだ場合、王子が姫に会えなくて不幸になるという透の解答がお洒落で気に入っています。
 
今まで”妹”であった咲を肯定することでやり直しを否定しているんですよね。
 

<ルート>

舞亜に「さよなら」を告げることの出来た唯一のルートであり、構成が美しいのでTrueに次いで好きなルートです。そしてこのルートで重要となる第三の思想は「誰かを頼る」です。
 
透も咲も一人では舞亜を振り切れず悪夢に飲み込まれています。考えれば当たり前なんですよね。一人で振り切れるのならこんな歪んだ関係になっている訳ないのですから。
 
だからこそ苦しみを分かち合うため二人でなければならない。お互いがお互いを幸せにするために、舞亜に「さよなら」を告げ、二人で一緒に銃を引く。これは三つの思想すべてを持たなければ成しえないことです。
 
薔薇のように散りゆく舞亜の美しさ、最後に指輪を花畑に投げるという締め方。これらの構成は素晴らしく、私の中ではもう一つのTrueルートといっても過言ではありません。
 

■舞亜

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最悪のトラウマにして最愛の妹。どの話でも圧倒的な存在感を放つ本作の象徴的存在。彼女が数多のお兄ちゃんを虜にしたのは想像に難くありません。もちろん私も例外ではなく本作で一番好きなキャラクターです。
 

<夢世界での配役>

トリックスターだったり案内人だったりまんまチシャ猫ですね。透のアバターでもあるはずなんですが、あの男がバグり過ぎてるせいでなんか全然そんな気がしません。
 

<ルート>

神出鬼没で狂言回しの立ち位置から誤解されがちですが、第2話の時点で自分を否定しなければいけないことを示唆し、お兄ちゃんの幸せのためだけに動いている健気な子です。
 
最愛を選べないのが本作であり、未来を選べない世界は行き止まりであるっていうのは分かっているのですが、それでも舞亜を選べないのは悲しいですね…
 
こんな気持ちを抱いているからでしょうか。このルートの最後の薔薇園で舞亜に抱かれるスチルは残酷なまでに美しいです。
 

■鳥海 有栖(有子)

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夢の中でしか出会えないアリスの名前を持った少女。他のヒロインは全員なんかねっとりしているので、明るくストレートに感情をぶつけてくれる彼女の存在が有難かったです。本作のヒロインとして一番好きな子です。
 

<夢世界での配役>

不思議の国のアリス。夢見の少女のアバターとしてこれ以上相応しい存在もいないですね。
 

<ルート>

夢世界の設定を上手に使い、事実上の“やり直し”を違和感なく実現させたこのTrueルートは本当に凄いと思っています。
 
ループにおけるやり直しは、パラレルワールド、タイムパラドックスが弊害になります。ですがこれを夢の中の出来事であり現実を変えてるわけではないというロジックでクリアするのは感服しました。
 
このルートの好きなところは他にもありますが、内藤透という主人公がとてもカッコよかったことが一番です。そんな彼のカッコよさを三つの思想で纏めさせてもらいます。
 
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◇第一「大切な思いは言葉にする」
因果の起点である死を肯定した過去をやり直し、一番大切な有栖には「好き」を伝え、有子には「支える」と寄り添い続けた。夢とはいえ十数年も寄り添うのは並ではありません。
 
◇第二「譲れない思いを持つ」
自分を助けてくれた人に恩に報いるために「自分は困っている人を見捨てない」。この思想を最初から最後まで持ち続けた。これが透の最もカッコいいところです。
 
◇第三「誰かを頼る」
他ならぬ舞亜を頼ること。これはトラウマを乗り越え「さよなら」を告げるのではなく「一緒にいる」を受け入れた彼の成長の証そのものです。しかしこの時の兄妹並んだスチルは本当にいいですねぇ…
 
この頑張りがあったからこそ、有栖は有子の中に残り「さよなら」「おはよう」に変わった。実に美しい幕引きエクセレントです!
 

考察

■有子のオッドアイとリボン

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◇オッドアイについて
片方の目の色が変わっているのは有栖が残っている感じがしていいですよね。こういう見える形で表現してくれるの嬉しいです。
 
後天的オッドアイなんていくらでもいますので、特にオッドアイになる理由なんていらないんですが、数年分の夢が脳に影響し変色したとかロマンティックで良くないでしょうか?
 
◇リボンについて
オッドアイと合わせて右に有栖が宿っている示唆かなと思います。夢世界で有栖は蝶の髪飾りもしていましたがリボンのみにしているのは洒落た演出だと思います。
 
夢を見るのは右脳なので、右側に有栖を仄めかすシンボルがあるのは芸が細かいです。こういう拘りが随所に感じられるから私この作品大好きですよ。

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