はじめに
感想(概要)
〇人と友情を育む少女人形
どちらのシナリオも根本テーマである「人と人形の友情」を物語の軸にし、短いながらも感動できる物語でした。黒猫亭での二人を形成するルーツを知れたのも良かったです。
〇戦時下という舞台設定
戦争真っ只中の前日譚だけあり、アニメよりもその厳しさが緻密に表現されています。そんな惨い世界だからこそ、明るく優しくある彼女たちの在り方が一層輝いてみえました。
△ボリュームが少ない
2000円という値段を考えると妥当なボリュームですが、発売間隔の長さを考えると値段が上がってもいいのでもう少し量がほしいなと感じました。
まとめ
まずアニメを見てそこそこでも面白いなと感じたのならやる価値は大いにあります。プレイするとアニメの何気ない描写に意味を見いだせるようになるのは本シリーズならではの趣です。
四部作の一作目ですが、どちらのシナリオも単体で楽しめるできなのは流石の一言です。特に「雪花文様」は目新しさもありとても良かったです。次作も今から楽しみです。
※以下はアニメおよび本作のネタバレ有感想です。
感想(冬空花火)
■灰桜
ちょっと抜けているけど底抜けにお人好しで明るい。見知った彼女がそこにいました。アニメのラストがラストだけに、いつもの彼女を見られるだけでノスタルジックな気分になります。
それだけに最後の初期化の痛ましさも倍化します。はたして何度彼女は大切な思い出を忘れてきたのでしょう。彼女のその気持ちを理解してあげられる日はくるのでしょうか…
<シナリオ>
灰桜の代名詞とも言える「歌」も最初は全然ダメだったというのはちょっと驚きでした。そのルーツを知れただけでも面白かったですが、彼女に歌を教えるリリアがいい味をだしていました。
アニメよりも戦時の雰囲気が詳細に描かれているので、置かれた境遇の痛ましさをより鋭く感じられます。この辺はノベルゲームならではの長所ですね。
そしてどこまでもピュアな灰桜をみて自分の醜さを自覚しながらも、灰桜の温かさに絆されていく様はまるで心が洗われているかのようで良かったです。是非とも二人には平和な形で再会してほしいものです。
感想(雪華文様)
■鴉羽
アニメでのマスター至上主義な彼女と違って、最初はツンケンしていたのは新鮮でよかったです。真面目な鴉羽らしく、世話焼き上手でメイドが板についてしまうのがまた微笑ましかったです。
彼女は戦闘人形としての自分に誇りを持っているのでしょうね。命令がなくとも己の役割を見失わない。自らの意志で人を守ることができる。彼女ほど優しく勇敢な子が友であるなら、これほどの誇りなことはないでしょうね。
<シナリオ>
この物語の核となるローザとの友情が丁寧に描かれていたのが非常に良かったです。よそ者同士が助け合って仲良くなっていく。この友情の形において人と人形の差は無に等しいです。
だからこそ人と人形が友達になるのは“特別”なことではなく、“自然”なことである。そういった本作の根本にせまるメッセージを感じ取れました。
そしてアニメで描かれたナギと鴉羽の理解度があがったのも収穫でした。わざわざ自ら戦場跡地で直すことに合点がいきましたし、鴉羽が取り替えたくないと思うほど、直してもらったパーツを大切にしている気持ちも今ならより強く共感できます。
考察
■自律人形にとっての記憶
論理機関を初期化されれば記憶を失うはずですが、灰桜は歌を好きだという気持ちを、鴉羽はナギが直してくれた体への思いをなぜか継承しています。桜花型の権能が消せない点も同様です。
思うにナギが黒猫亭に集めた人形は全てこの特性を持つのではないでしょうか。本来人形にないはずの“意志”と呼ぶべきものが彼女たちには備わっています。それこそが本シリーズの根本に繋がっている気がします。
人間においても頭と体の記憶があるように、人形も同様に論理機関以外に記憶が宿っている気はしますが、設定していない桜花型の権能を持つ灰桜とテセウスの船状態である鴉羽を見るに、物理的なものではない可能性を睨んでいます。
現状ではこのぐらいしか考えられませんが作品が進むにつれ深堀していきます。作中で解答が出る前に私なりの解答を出したいですね。
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