プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

紅月ゆれる恋あかり 感想

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制作 :CRYSTALiA 
ランク:A 
刃を交え無二の親友を得る熱き青春の友情譚。
※後半ネタバレあり。
<実攻略順>
本編 → 追加エピソード(梨々夢 → 旭 → 紅葉 → 雪月花)
 
<推奨攻略順>
本編シナリオは1本道です。追加エピソードはお好きな順番で問題ありません。

感想(概要)

〇熱い青春と友情
軸を完全に「刃道」に絞っただけあり、勝負にかける「信念」と育まれる「友情」が濃密に描かれていたのが良かったです。質の高い青春物語として楽しんで読めました。
 
〇手に汗握る試合
本気で優勝を狙っている者同士が信念をぶつけ合う様は素晴らしかったです。演武祭本戦の試合は全て面白く大変満足です。過去作から演出が強化されているのGoodです。
 
△恋愛描写が少ない
魅力的なヒロインも多いため恋愛要素も頑張って欲しかったですが、それでクオリティが落ちては本末転倒なので、こういう形式なのも仕方がないかなと思っています。
 
×エッチシーンが薄い
本編に入れず隔離したのはいい判断だと思います。ただシーン自体は短くて薄いです。エロゲとして戦っていくなら今後強化してほしいです。
 

まとめ

スポ根青春ものとして実にクオリティの高い作品でした。個人的に「敗北の悔しさ」がしっかり描写されているのが高ポイントです。本気で取り組んでるからこそ悔しい。これが伝わってくる作品はそれだけで名作です。
 
テーマが「他人を尊重する」「大切なことは言葉にする」という私好みのもので、ブレがなかったのも良かったです。特にラストバトルには全てが詰め込まれていて最高でした。
 
※以下はネタバレ有感想です。
 
 
 
 
 
 
 

感想(演武祭前)

篁組の仲良くなっていく描写と、個人個人の演武祭にかける思いを時間をかけて描写していたのは個人的にポイントが高いです。演武祭以降は面白さはこの下ごしらえがあってこそだと思っています。

■雪月花-紅葉

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「風嶺」と「朱雀院」という個人でなく「家」のために動かなければならない制約を持った者同士です。「大切なことは言葉にする」の重要性を感じる関係です。
 
この時点では雪月花が紅葉を解きほぐす関係かと思いましたが、実際は本当の意味で似た者同士で、お互いに解きほぐし合う関係だったというのは面白かったです。
 

■旭-梨々夢

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こちらは信念の違う反りが合わない者同士がともに切磋琢磨し認め合う。「他人を尊重する」を重視した関係性かなと思います。
 
自分の世界観を重視する梨々夢が、旭から他人をリスペクトすることを学んだ側面が強いです。こういう関係性にしたせいか、他のヒロインに比べて梨々夢が損な役回りだったのは可哀そうでした。
 

■蛍雪

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実は作中の言葉で響いた言葉は、彼女の「真摯でない者には価値がない」です。上記で語った二つのテーマも究極的にはこの言葉に帰結します。彼女の人となりも分かるいい言葉です。
 
彼女がヒロインでないのは、本作のテーマを根本から理解しているという点もあるのかなと思います。事実彼女が他者の意見をないがしろにしているシーンは、私の記憶の中にはないです。
 

感想(演武祭本戦)

ここからの感想は本戦の対戦形式ごとに語っていきます。
 

■1回戦:園美 vs 旭

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人それぞれ戦う理由があるという「他人への尊重」の重要さが描かれた試合でした。こういうストレートな展開いいですね。メッセージがダイレクトに伝わってきて好きです
 
努力が互角であるのなら、二人分の気持ちを背負っている分だけ旭の方が覚悟の面で上回る。そういう気持ちの差が勝敗に直結した試合だと思います。
 
また、梨々夢が旭から受け取ったものを声援として返すという演出も、梨々夢の成長と二人の熱い友情を感じられて良かったです。「もう少し、一緒に剣士をやっていたい」という旭の独白には少し涙腺が緩みました。
 

■1回戦:紅葉 vs 雫

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物語的に紅葉が負けるはずがないのですが、読んでるときは冷や冷ものでした。あらゆる型を使いこなす技量も異常ですが、なにより悪鬼討滅が凶悪すぎる。敗因が体力不足なのは落としどころとして上手いなと思いました。
 
試合後は濃厚な百合空間に気を取られちゃいますが、例え「Other half(半身)」であっても口にしないと本当の気持ちは分からないという描写が興味深いですね。
 
プレイ中は気づきませんでしたが、今思えば雪月花と蛍雪は本当に同じ考えなの?っていう問いかけにも見えますね。
 

■準決勝:ヴィクトリア vs 雪月花

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因縁とか特にないマッチアップなので、雪月花念願のヒールムーブ超パワー同士の削り合いが素直に楽しかったです。ヒール役があるせいかプロレスっぽい感じがしますね。
 
見どころはやはり必殺技の打ち合いですね。“21本ソニックラッシュ”をまさかの“銀楯”だけで防ぎきり“万絶”でフィニッシュ!いや~いいですねぇ。
 
後は外からせっちゃんに湿度の高い感情を向けるもみもみがいい味を出してました。本当に友達になってほしいのが良く伝わってきます。
 

■準決勝:旭 vs 紅葉

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演武際における文句なしのベストバウトです。隠し玉が何か期待していたらまさかの“天元斎明流”!プレイ中は思わず「オイオイオイオイオイ!?」と口走るぐらいには驚いたものです。
 
九鬼旭という選手を過小評価していたと言わざるを得ません。まさか勝つためにここまで努力を積み上げられる人間だったとは…。こと「刀仕禰宜」に対する執着は選手の中で一番でしょう。
 
紅葉が”所業無我”に至れる本物の天才でなければ勝っていたでしょうね。残念ながらあるがままに森羅万象と一つになる「神の領域」の一端に勝つには、彼女ほどの努力でも及ばない。
 
だからこそ彼女の慟哭に心を動かされずにはいられません。泣くのは当たり前なんですよ。本気だからこそ悔しいのですから!この感情をしっかり表現できているのは本当に素晴らしいです。
 

■決勝:雪月花 vs 紅葉

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この試合もいいなと思ったところは沢山あります。
 
覚醒し燕無双を打ち続ける紅葉、その速度に追いつくために我流奥義を生み出した雪月花、追いつき追い越し合う二人の戦いは息をつく暇のない凄まじいものでした。
 
ですがその終わりはひどくあっけなかったです。お互いのしがらみは何も解消せず、雪月花は「万絶」すら使っていない。消化不良でとても満足できません。ですがこれは後の決闘のスパイスなんですよね。
 
その甲斐あってか決闘はカタルシスが凄まじかったです。見たかった展開が全て詰まっていたといっても過言ではありません。
 

感想(決闘)

感想の前に本作主演の二人について改めて紹介させていただきます。
 

■風嶺 雪月花

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姉蛍雪の「後にも先にもない風嶺最強の剣士」という評価は決して誇張ではありません。自己の完全知覚と神(蛟)との合一など常人には不可能。おそらく現人神に近しい存在でしょう。
 
この領域に到達できるほど溜め込んだ怒りと屈辱は計り知れないものがあります。自ら命をチップにすることを厭わないほどの「生き地獄」にありながら、常に笑顔でいなければならなかった苦痛は想像したくもありません。
 

■朱雀院 紅葉

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本シリーズのヒロインで間違いなく最大の天才です。剣士として彼女を上回れても”所業無我”に到達した彼女は人としての次元が違うため根本的に比較できません。
 
あまりにも強すぎて化け物呼ばわりされ、近づいてくるのは朱雀院という首輪につられた愚者ばかり、何度人に絶望したのか分からないレベルでしょう。ペシミストになっていないのが不思議なくらいです。
 

<無二の親友>

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結局のところ紅葉のこの言葉がこの物語の全てです。どこまでも自分を構ってくれたうえに、何度も友達だと言ってくれた雪月花でなければ口にする勇気を持てなかったでしょう。
 
それがどれほどの勇気を伴った行為か理解できるのも、同じ次元に到達している雪月花だけ。自分を理解してくれる同世代の人間に出会えることは、二人にとってそれだけで奇跡なのです。
 
そして本気でぶつかり合い、本音を引き出しあったからこそ、雪月花も蛍雪に「真摯な我儘」をいう勇気を持つことができた。本作のテーマが凝縮された見事な一戦です。
 
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しかし蛍雪の方が盲目だったというのは面白かったです。半身だということを疑問にすら思っていないレベルで妹が大好きなお姉ちゃんなんですよね。いいキャラなので彼女がヒロインの物語も見てみたいですね。
 
ところで雪月花が最後に「飛天ノ御剣」とかいうとんでもない名前の技を使ったように聞こえたんですが聞き間違いじゃないですよね?すごいなせっちゃん…。
 

おまけ

読了後に見る発売記念ペーパー本当に尊い…

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