※後半ネタバレあり
・千種正光:BAD → TRUE
・天間武雄:TRUE → BAD1 → BAD2
悩んで考える意義のある選択肢ですので、是非ご自身の選択でプレイしてください。しかしベストな流れをお望みなら、他サイト参考にし初回TRUEになるようにすることをお勧めします。
感想(概要)
おそらくこのお話を読んで、ひとつも自分に引っかからない人はいないでしょう。精神病に関わる方は特に刺さるのではないかと思います。私にはぶっ刺さりました。
「風爛症」という対策もないどうしようもない病を軸に、同情人物の人間性が良く描かれています。この物語は基本的に「人の善意」で構成されているので、読んでいて心が温かくなることが多かったです。それ以上に病の不条理も感じましたが…
決して選択肢は多くありませんが、投げかけられたすべての選択肢に「君はどう思う?」という意図があったと思われます。こういう選択肢で悩んでいる時間ほど至福のときはありません。
まとめ
感想(種田正光)
■一章「風欄症患者は人間である」
彼の視点を通してこの病の恐ろしさを知る。
最初の章だけあって病気の紹介がメインだった気がします。初見の印象ではやはり不気味さが拭えませんでした。なにせ死者が蘇るのですから。
■三章「帝都にて」
■四章「頭の中でパタパタと」
■五章「野村夜の家で」
■六章「山の中の檻」
・母親を済ませることについて役に立てると喜んだ朝さん
・ひひるの妾を快く迎えた両親
・誰よりもまーちゃんを愛していた母親
■八章「発症」
この章で一番印象に残っている言葉は「患者と付き合うのに一番大事なのは根気」です。これは現代においても通ずることであり、この信念を持つ医療従事者の方を尊敬します。
■十章「一番自由で気楽な場所」
■十一章「非常に重要な試み」
風爛症に罹患した者を医師にするという無謀を通す加鳥博士はやはり化け物。でも仰るとおり風爛症にかかっても元の生活に戻れた例がなければ、世間の意識は変わらないんですよね。
■十二章「ひひるの運命」
特別を作れなかったが故により多くの患者を救うために人生の全てを風爛症と戦うことに捧げたルート。彼自身も母親の未練を残し幻影を抱えているので恐らく先は長くないでしょう。
■十二「一番大事な患者」
■終章「僕はこのために生まれてきたんだ」:TRUE END
私宅看護は実際にあった私宅監置をベースにしていると思います。この制度が廃止されたのも1950年頃で約30年後に廃止されたとなると大体同じかと思われます。
感想(天間武雄)
■一章「銀座のひひるたち」
彼を通して患者を看護する辛さを知る。
■二章「常見家」
ここでの選択肢は即決で“別の方法を考えるを”選びましたが、これもまた重い選択肢です。個人の意思を聞いて介錯してあげるのも人情ですからね。
これは尊厳死を肯定するかを問われています。この問いに明確な答えはありませんし、現代でも議論が尽きない命題です。ですが今回の場合は依頼された側が決定者になってしまっているのがダメだと思いました。
ひひるは人間状態ではないから命を止める。この決定を衣川と武雄がしなければいけない。学生が決めるにはあまりに重すぎます。その考えで選択したにすぎません。
この章は天間武雄という人間の良さが存分に出ているので大好きです。特に衣川の「恥をさらしたな」に対し「私は恥じるようなところを見ていない」は本当にカッコよくて好きです。
その後本作唯一のチートキャラ加鳥博士に偶然知り合えて、美代さんを無事に入院させることができたのですが、美代さんの最後の言葉には涙がでそうになりました。
「兵さん、ほんとに、ありがとう」
博士も言っていましたがやはりひひるは人間なのです。
■四章「君がくれたタオル」
殺めた場合の四章。どんな理由が人の形をしたものを殺めた時点でその者が正常でいられるはずがない。こちらのルートに入った武雄は最期まで覇気がなく、見ていて辛い気持ちになります。
■五章「戌一会の夜」
この章では明子さんの境遇から大正時代の女性が現代と随分違う存在だなと感じました。現在では彼女レベルの才媛であれば選択肢は非常に多いですがこの時代ではそうもいきません。
そんな女性でも外の世界を見られる可能性がある。”文明開化”その意味への理解が少し深まった気がしました。
■六章「棺は桶に似ている」
この病気の特徴のひとつである仮死状態と判別がつかないというところが非常に質が悪いなと思っています。しかも蘇生に個人差があるので分からず火葬したケースもあるでしょう。その方がある意味幸福かもしれませんが…
昨日まで明るくて賢い娘が、家族すら理解できず妄言を口にするようになってしまった。絶望以外の何ものでもないです。その娘を想う鎮柳先生の愛が身に染みる。
精神病患者は看護するものも大きく疲弊する。特に罹患前とのギャップが強ければ強いほどその衝撃は大きい。三者三様の悲観と憔悴を見るのはつらかったです。
そんな状態で表れる武雄の今後を決める選択肢。悩みましたどちらが最善か全く分からないのですから。選択は“常見家に残る”です。理由はただ単に武雄に明子を諦めて欲しくなかった。ただそれだけなんですよ。
武雄はやはり残って正解だったなとこの章を読んで思いました。他人のために120%の力を使う彼は生き生きしています。しかし看護というのは想像以上に大変ですね…看護人不足の深刻さが良く分かります。
自分で明子を始末しようとした鎮柳先生の行動は褒められた行動ではありません。ですが変わっていく娘を見て憔悴し親の責務を果たそうとした先生の気持ちは理解できます。
武雄が止められたのはそれが間違いだという意思を持っているからです。だからこそ殺めた場合の彼にの権利はなく、むしろ自分の手で殺めるという愚かな選択をしてしまいます。
これはある漫画の受け売りですが「殺す人間の世界は必ず閉じる」らしいですよ。少なくとも本作においては真理であったと思います。
※先にBAD ENDについての感想になります。
■十章「天間武雄の今」:BAD END2
明子さんの状態は良くなっていますね。言葉遣いも丁寧で本を読みたいという欲求もある。これは回復の期待が持てます。だからこそ先生の決断は残念でなりません。
彼が自死を選択する合理的な理由はありません。愛娘のためを思うなら生きなければならない。ですが“愛は無限ではない”のです。だから思いつめて自殺を選んだ先生を私はどうしても攻められません。
■十一章「朝日」
ここまでのながれでは看病する側の苦悩が描かれていましたが、病気で一番苦しんでいるのは本人だということを決して忘れないでほしいです。
当たり前のことができなくなり、好きな人間に迷惑をかけてしまう。善人であれば善人であるほど、その自分に価値を感じず自分を終わらせたくなります。
だから患者のすべてを受け入れる天間武雄という男は理想の理解者なのです。まったくイケメンが過ぎますよ彼は。
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