プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

フェアリーテイル・レクイエム 感想

20220522-00.png
制作 :Liar-soft(公式サイト) 
ランク:A 
童話の登場人物になりきってしまう不思議な病気のお話。
なんとなく手に取ったが、地獄みたいな世界を食べさせられた。
※後半はネタバレ有
×バックログ
一文ずつしか遡れないのは、流石にないなと思いました。

攻略順

<実攻略順>
アリス → ラプンツェル → グレーテル → オデット&オディール → ゲルダ
 
<推奨攻略順>
アリス → オデット&オディール → ラプンツェル → グレーテル → ゲルダ
※アリス初回、最後はグレーテル→ゲルダの順を強く推奨
 

感想(概要)

〇目を引く設定と抜群の画力
童話の登場人物と思い込んでしまう「お伽噺症候群(フェアリーテイル・シンドローム)」というセンスの塊のような設定と、世界観にマッチした色彩豊かな画風。これらによって構成される世界観は凄まじく一枚絵の中には息を呑むものもありました。
 
△地獄のような内面
童話には子供に対して教訓を教える役割があります。本作ではそんな子供向けに美化したものを、大人向けに素敵に悪趣味に置き換えていますので正直堪える展開が結構あります。それが本作の味でもあるのですが少なくとも凌辱NGな人はダメですね。
 
△ファンタジーの肯定
本作は設定こそファンタジックですが現実に根ざした世界観です。ですが理由付のないファンタジーの介入が存在しますので、ロジックを求める人には納得できないかもしれません。私はちょっと引っかかりました。
 

まとめ

中身の評判を知ってそれでもプレイしたいと思うのなら、その渇望に準じましょう。美味しいものには毒があるともいいますし、たまにこういう作品をプレイするのもいいものです。童話モチーフらしく本作が語る”教訓”も好きなものでした。
 
1ルート1ルートは短いですが話が重くパンチ力があるので中々精神にきます。幽霊よりも人間の方がよほど怖いとはよく言ったものです。メルヘン・ミステリアスホラーを名乗るだけはあります。
 
※以下はネタバレ有感想です。








感想(ネタバレ有)

■アリス

20220522-01.png
可笑しいことを素敵なことにできる極彩色の少女。思考が非凡すぎてたまに頭が痛くなりますが、彼女の人を笑顔にできる才能の素晴らしさは疑いようもありません。
 
そんな本来の彼女の性格が事故のトリガーになってしまい、自罰の責から逃げるためにシンドロームに罹患してしまった。痛ましくはありますがあり得ない話でもないです。「不思議の国アリス」が教訓を含まない私小説であるが故に、聖書を上書きし物語を描き続けるというオチも上手いです。
 
ただこの時点では、「裏側」も含めて楽園自体がシンドロームによる幻覚で、実際はただの精神病院じゃないか?と思ってました。色々理由はありますが、”真実”による楽園崩壊、白薔薇を赤薔薇にするくだり等、現実であることを疑う要素の方が多かったんですよね。
 

■ラプンツェル

20220522-02.png
童話の通り塔に篭る姫君そのもののような美女。そして男を褥のうちに誘う甘い毒の女。もっとも不幸にも美人であるが故にそうなってしまった薄幸の美人ではあります。
 
彼女に関しては正直見くびっていました。まさか「王子様」の正体を認識した上で相手をしていたとは思いもしなかったです。現実に諦観しながらも心から夢の内に居ない。そういう意味で「出来損ないのラプンツェル」とは中々に洒落た言い回しです。
 
グレーテルとの絡みは彼女の母性の強さを良く表現出来ています。その上でグレーテルを破壊するこのルートは中々地獄度が高いです。ラプンツェルが諦観の結論を出さざるを得なかったのも仕方ないように感じられます。
 
ラプンツェルとして纏まっているのでルート単体では一番完成度は高いと思います。童話の締めの決まり文句である「いつまでも幸せにくらしましたとさ」を本作の解釈で使えているのも個人的に好ポイントです。
 

■グレーテル

20220522-03.png
ひ弱な見た目どおり臆病な子ですが、華奢な肉体に違わぬ食欲と並外れた剛力を持つ強者でもある、一枚岩ではないパッチワークな少女。
 
このルートに比べれば他のルートはパラダイス(楽園)みたいなものです。丁寧すぎるゲルダ破壊描写、悪意の塊である監視室等、楽園の「裏側」にアクセスしたせいで地獄度が他の追随を許しません。あらゆる角度から削られました。
 
また印象に残る一枚絵も多かったです。中でも十字架のゲルダは先の破壊描写とも合わさりその圧倒的な負のオーラに思わず絶句したほどです。無力×理不尽の本当にどうしようもない絶望が心に響きます。
 
ですがこの期に及んでも、楽園の「裏側」が幻想描写である可能性を私は捨てていませんでした。まぁここまで壊れた世界であることを、信じたくなかった気持ちが大きかったとは思います。
 

■オデット&オディール

20220522-04.png
疑うことを知らず惚れっぽい姉。何をやらせても上手くいく如才無い妹。互いが互いに妄執を抱くが故に歪みきった白鳥の姉妹。ちなみにオッドアイであることに、湖の一枚絵まで気づかなかったので滅茶苦茶驚きました。
 
オデットについては本作の欠点の一つです。ギミック優先の結果、彼女とのコミュニケーションが殆どなかったので正直ヒロインとして認識できません。優劣云々の前に比較の土壌にすら上がれてないのはちょっとないなと思います。
 
なので必然的にオディールを中心に考えます。理性的な物言いから信頼可能ヒロインと判断したので、彼女の真意は何かを考えたとき「姉を選んでほしい」かな?とは思いました。
 
まぁ実際は、妹を選べば「見る目のないゴミ」という事実で否定され、姉を選べば「姉さんに近づくな」という感情論で否定されるので袋小路だったんですけどね。ですがこの過度な神格化による破綻した思考嫌いじゃないですよ。人間らしくて。
 
個人的にはオディールの漏れ出た言葉は真実性があったので、この時は楽園の「裏側」は真実じゃないか?と思ってました。
 

■ゲルダ

20220522-05.png
正道を行き善であることを尊ぶ賢く強い少女。本作のTrueヒロインにして最重要キャラクター。私にとってこのゲームは、正しい”コドモ”である彼女を信じられるかどうかを問うてくる作品でした。多分楽しみ方を間違ってます。
 
結論を言うと私はゲルダを信じられませんでした。決め手となったのは、思い出せないモニターの映像と何も知らないイケノです。映像を思い出せないのはそれが実際に起こっていないことだから。何も知らないのはそんな事実はないから。そう結論づけました。まぁご存じの通り不正解でしたが。
 
ゲルダのラスト描写を考慮すると、どちらも主人公が求め人という解を出しているので、その想いの強さを理解することが出来ていれば信じる方の解答を出せたかもしれません。
 
でも結局は、理由のない人の悪意や狂った倫理を肯定したくない。そういったものが私の根底にあるので悪を否定したいがために彼女を信じる選択をできないでしょうね…

■レクイエム

20220522-06.png
本作が”教訓”として語るのは「自分を大切に思ってくれる人のために、自分に優しくしなさい」だと思います。私も大切にしている思想です。これを”ピーター・パンになれない”主人公という形で表現した構成は見事です。
 
ですが正直このルートはどうにも納得できないです。イケノが「裏側」を知らないのは無理があるとは思いますが、まぁ無能か異端者しかいないらしいので、彼が前者だったというそれだけのことでしょう。
 
ただモニター関連が全部ドロシーの”制御不足”で始末されてるのは、ちょっとヒドイなと思います。後は単純にドロシー自体が異物過ぎて受け入れられないです。超常現象が突如味方になった展開に追いつけず、置いてけぼりにされました。
 
個人的にはピーター・パンルートの方が、この狂った世界の終わりとしては、納得できてしまいます。ゲルダの本来の性格という、特大の代償を払っているので、バッドエンドにはなってしまうのですがね…

コメント