和の情調溢れる千年後を舞台とした人の進化の物語。
締りの悪さはあるが、ここまで”人”を描けているのは見事。
※後半はネタバレ有
<実攻略順>
優里(本筋→派生) → 双子(本筋→派生) → 春姫
<推奨攻略順>
派生を先に済ませることをお勧めします。
感想(概要)
〇理の通った物語
作中の出来事、登場人物の行動のにちゃんと意味があり設定が良く生きています。このなりで本当に近未来であったのは驚きました。能力戦闘に関しても理が通っており、魅せる戦闘が多かったです。
〇人を描けている
ありきたりな言葉ですが、登場人物が作中世界で生きています。登場人物の心情や行動に矛盾がなく作中での役割がありました。だからこそ彼女らの物語には、心を揺さぶられることが多かったです。
△意気消沈の終盤
春姫本筋の序盤まではケチを付けるところはないです。ただそれ以降に関しては勢いが落ちていきます。全くダメかと言うとそうではないですが、思っていたよりオチが弱いなという印象です。
△エッチシーンの扱い
シーン数が少ないのは明言されてますし、強みである肉感は健在ですが、使いまわしは流石に良くないですね。こんなことやるならサブは全部捨ててメインのみに絞った方が良かったと思います。
まとめ
勿体ないという言葉が真っ先に出てきます。途中までは極上の物語だっただけに、どうしても終盤が残念でなりません。CGも切り詰めている感じがしますし、色々余裕がなかったんでしょうね。だからって「極限まで完成度を高めた」と嘘をついてはいけません。
まぁこうは言いましたが、最後もちゃんと終われてますし、双子までのクオリティは年に一つ有るかどうかのレベルですので、買ってよかった作品ではあります。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
■共通
この段階で水の合う作品だなと感じていたのは覚えています。要約すると概要の上半分2つなのですが、本作の”努力”考えが私の考えと一致していたのも大きかったですね。
春姫が鉄鬼と相対し、信に言霊使いの在り方を説くシーンは、その最も足るものですね。己を信じて善であり続け積み上げる。彼女が言ったことは”努力”そのもの。こう在りたいものです。
また近未来の部屋には驚きました。強いAIや1000年後も部屋を機能させられるエネルギー源。このゴリゴリのSFっぷりは、今後の展開が否が応でも気になったものです。
■優里
心底真っすぐな実主人公の付き人。このレベルが農民をやっているカントとかいう国はやはり異常。
<本筋>
優里は間違いなく勝つための最善の努力と準備をしました。それは善戦という結果にも現れていますが、敗北を悔しがる姿がより雄弁に語っています。本気だからこそ負けは悔しいのです。
春姫視点での負け筋は、迂闊な言霊を口にする”不運”だけです。地中からの奇襲は、想定外故にその”不運”が起こりかねない状態でした。彼女からすれば「運が良かった」は、謙遜でも何でもない、紛れもない事実なのです。
そしてその戦術は他の誰でもない、優里が考え実行したものです。だからこそ善戦の喝采も、敗北の悔しさも、享受する権利が彼女にはあります。戦いというものを良く描けていた章です。
<派生>
最初はカントで結婚の利点なんかつくれるのか?と思っていましたが、最後には納得させられてました。大したものです。どの章よりも人間を描けていました。
理で考えると今でも利点は多くないと思っています。ですが子が親を想うこと、親が子を想うことに理屈など要りません。”血は水よりも濃し”という言葉の意味がよく分かるシナリオでした。
まさか心を納得させられるとは思ってもいませんでした。これを見せられて家族の必要性を否定するのは私には無理です。結婚を家族のための手段にするのも上手いです。
■茜&葵
天災の領域に至った能力を持つ双子。二人とも無邪気ですが、茜はおおらかさ、葵は獰猛さ、といったを感じで、能力が性格にも現れている気がします。
<本筋>
この濃密な能力バトルが面白くないわけがない。異常に強い敵を滅茶苦茶な方法で倒しているのに、納得できるだけの描写がある。理が通うといのはこういうことなんですよ。スケールが大きくとも筋が通る。
机上にしか存在しない筈の空気抵抗を無視した”重力”、神の裁きと称される”雷”、人類永劫の友たる”火”。位置、電気、熱のトリニティエネルギー攻撃の前には、死鬼など鉄屑も同然。素晴らしいものを見せてもらいました。
茜ちゃんは上に立つものとして成長する姿と、雲海の天女キスが魅力的ですが、葵ちゃんの獣っぷりと、雷細工で想いを伝えてくる姿も同じく魅力的で、チョイスの必要があったら相当悩んだと思います。甲乙付け難い双子です。
<派生>
新衣装の双子を最初に見た時の感想は、「今すぐズコパコしたい」でした。ツボを押さえていて本当に可愛い。このデザインセンスは素直に褒めたい。誇るべきところですよ。
“生きる”ために人を殺すより、未来を子供に託し”滅ぶ”ことを選べた第2期は、人類として第1期を超えている。本作の根底にある”幸福な未来を信じる”がつまった美しいお話でした。
個人的にはこの派生を作品としての本筋と見ています。夏姫のような特異点が裏方として活躍し、茜くらいを天井とした方が、人類の進化の道筋としては自然に感じます。
■春姫

甘く卑怯な奇跡の統治者。柔らかな見た目、神速の判断力、幸福の未来を見据えるヴィジョン。彼女の魅力は枚挙に暇がないほどです。
<本筋>
春姫よりも夏姫の方が役割強いのがアレですが、前半で彼女を堪能はできましたし、夏姫も重要な登場人物ですし、尺の都合上しょうがないかなと、思ってはいました。
夏姫の極まった人類愛と、生命賛美は良く描けていたと思います。生命を愛するがゆえに終わりを求める彼女に対する冬人の答えが、世界を超える極まった”人の技”というのもニクイ演出です。
ですが最後の春姫だけは無いです。このオチにするなら決戦直前に統治者を捨てるのを、本当の最後まで取っておくべきです。魅力の一つである統治者を捨てるという行為は、一度だけ有効な”奥の手”なのですから。
実際決戦直前は訴えるものがありました。ですが二番煎じとなったラストの慟哭には重みがありませんし、夏姫を超えたというのも納得ができないです。最後が蛇の尾だったのは残念です。
余談
■創られた生命
個人的な見解ですが本作はこのテーマを捨ててます。
- 該当者が信、春姫、youと3名もいる
- 春姫が誕生の真実を知らない
- 頻繁に出てくる強いAIという言葉
- 鉄鬼のルーツが謎
- 核融合(エネルギー源)の示唆
これだけあって偶然でしたとは考えにくいんです。プレイ中はここに一番期待してたんですよね本当は。だから心底残念なんです。
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