プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

思い出抱えてアイにコイ!! 感想

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制作 :HOOK SOFT(公式サイト)
ランク:S
 
かつて別れた幼馴染と再会し恋する物語。
テーマの追求とキャラクターの練りこみが際立つ珠玉の一作。
※後半ネタバレ有
 

はじめに

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攻略順

<実攻略順>
静流 → 優菜 → 郁 → 千聖 → 兎鞠
<推奨攻略順>
兎鞠は最後を推奨。後はお好みでいいと思います。

感想(概要)

〇再会型幼馴染の追及
このジャンルのヒロインにおいて重要視されるのは、”過去”がどう”現在”に影響しているか。これに尽きるといっても過言ではありません。本作の設定とシナリオはこれが徹底されており、コンセプト追及の妥協のなさは、見事という他ありません。
 
〇効果的なリップシンク
今更ポイントに挙げることか?と侮っていましたが、有無で天地の差がありますねこれ。下手にE-moteなんか使うより、自然に表現のバリエーションを増やせますので、今後も継続して使って欲しいですね。
 
〇栗山兎鞠というヒロイン
“理想が詰まった”という謳い文句、”白”という最も強力なヒロインカラー、そして”選択の醍醐味”を与えてくれる特別なヒロインです。少なくとも私の中には、彼女の代わりはいませんでした。再会型幼馴染の結論の一つです。
×次の選択肢までジャンプがない
序盤から選択肢存在し、その後も数多く選択肢がある本作において、この機能がないのは配慮不足と言わざるを得ません。というかこんなものは標準で装備してしかるべきです。

まとめ

私は再会型幼馴染が大好きなので贔屓目はメチャクチャ入ってますが、幼馴染ものとしてだけではなく、恋愛ADVとして類い稀なる一作であると断言できるくらい、本作を高く評価していますので、是非とも手に取って頂きたいです。
 
ただ意外と頭空っぽでイチャラブを楽しむタイプの作品ではないので、そういう目的で買うと、多分コレジャナイ感が出る気がします。
 
私はキャラクターが何考えてるのか、無駄なくらいに想像してプレイするのが好きなので、波長が合った作品だったのも、評価が高い理由になります。
 
※以下はネタバレ有感想です。
 
 
 
 
 
 

感想(ネタバレ有)

■西溪 静流

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義に熱く、他人のための行動ができる真摯さを持ちながらも、照れてそれを誤魔化しちゃう人見知りな女の子。
 
他の幼馴染達が多かれ少なかれ変わる中、子供のころから順当に育っている彼女には安心感があります。変わらぬのもまた美徳ですね。
 
このルートの告白は演出が美しくて好きです。思い出のブランコという舞台、「喜んで」と静流に回答できる意味、そしてそのチャンスが静流の優しさから生まれたものであること。それらが一体となっている様はまさしく耽美です。
 
照れて誤魔化すところも可愛いところですが、彼女の真価は告白後の誤魔化すことを止め、感情をフルオープンにした甘えにあります。ぶっちゃけ分けわからないほど可愛い。正しいツンデレはやっぱ強いですね。
 
このルートはオチに向けて大きな動きがなく緩やかに着地します。その様が自分のペースで無理なく進んでいる彼女そのもののように感じ、なんかいいな…という独特な読後感を味わえました。
 

■春ノ原 優菜

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かつてカードで熱い魂のやり取りを交わした、天使の歌声と称されるほどの歌唱力を持つ、負けず嫌いで表情豊かな少女。
 
小ささにコンプレックを抱いている彼女ですが、そのスレンダーさは立派な武器です。モデルの写真イベントとかその魅力が十分に出て良かったです。乳は盛ればいいものではないのだ理解しろ。
 
根本的な男性恐怖症を放置したまま付き合うのは、彼女が憧れたヒーローとは程遠く感じて、イマイチに思っていただけに、最後の憧れを超え隣りに立つ、子供たちのヒーローになる展開は最高でした。
 
誰かのために熱いハートを弾けさせられるものは、勇気あるヒーローです。そのために幼馴染が一同に手を取り合う展開も、熱さに拍車をかけてますね。エンディングに繋がるのも実にニクイ演出です。
 

<エピローグ>

この”髪型は恋の願掛け”で驚かなかったやつは人間じゃない。まさしく”切札”と呼ぶのが相応しい演出です。おかげでもっと彼女が好きになりました。
 

■所沢 郁

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まんまるボディからアスリートへと驚異的成長を遂げた、キザな台詞が似合うプリンスな彼女。
彼女の凄いところは、夢に対して手が届くと信じ疑うことなく進むことができるその強固な精神力です。その見事な体系も”一緒に冒険がしたい”という夢に邁進し続けられたこそであり、必然の産物と言えましょう。
 
加えて他人のために今の自分のイメージを遵守する等、人間力がとても高いです。ですがヒロインとしてみるには、王子様なイメージもあって、ちょっと趣味じゃないなと思っていたんですよね。髪をおろした姿を見るまでは。
 
あれを告白前に見せるのは卑怯です。一瞬にして”女”を認識させられました。それだけに髪をおろした状態でのエッチがなかったのは残念です。まぁポニーテールも、今の王子様な彼女を象徴するものなんでしょう。そう考えれば無いのは、徹底しているとも言えます。
 
最後の信じられる人がいたからこそオーバーワークせず、万全の状態でいられたってのは、オチとしては良いと思いますが、過程のライバルがケガで試合に出られないってのは、片手落ちに感じましたね。
 
そういうのは試合中のプレイミスとか判断力の差とかで表現して欲しかったですね。前2ルートと比べると個人的に物足りなさを感じました。
 

■須郷 千聖

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かつてのやんちゃな面影はないもの、オチャメな根はそのままな、ルビーレッドの髪とサファイアブルーの眼を持つ煌びやかなお姉様。
 
強者の定義は人それぞれでしょうが、”理想に生きれる者”はその一つではないでしょうか。自分の全てに自信があると言い切れ、理想の女性像を演じれる彼女は、私からすれば紛うこと無き強者です。
 
そして強者の戦術は正攻法です。告白前に逆壁ドンからの直接キス。この想像を超える猛者っぷりには慄きました。しかしこういったヒロインが見せる弱さは堪らないもので、このときはそれを期待していました。
 
ところが彼女は自分の弱さを自覚し、あまつさえ口にする始末。そういうものは、往々にして隠しているものだったので、う~んと思っていたところ、四月一日さんの「強い彼女を信じろ」という言葉に、ハッとさせられました。
 
「学園純愛ゲーに強くあり続けるヒロインがいる訳がない」多分そう思い込んでいたのでしょう。全く自分のことながら視野が狭い。この新しき視点に気づけたことには感謝の一言を述べたいですね。
 
後、彼女は自分のことをメンヘラ気質といいますが、長期的な視野を持ち、仲間との思い出のために金を使える人は、それとは真逆じゃないかと思います。まぁセックスの求め方は、なんか近く感じましたけど…
 

■栗山 兎鞠

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幼少期は甘えてくれる妹、再会時は面倒を見てくるママ、付き合ってからは甘えさせてくれる恋人。そしてそれら全てをただ一人に向ける、理想の白き幼馴染。
 

<共通~進展>

代理ママという意味の分からない設定と、序盤は彼女の選択肢しかでなかったので、初回ルート固定かな?と思ったくらいです。実際は幼少期の選択肢で選ばないと何しても入れないんですけどね。
 
ベッタリとくっ付いてくる上に、フェアリーボイスで「ハルくん」と呼んでくれる彼女は実に魅力的でした。それだけに学校で「酒匂くん」呼びになったとき、割と本気でダメージを受けました。
 
他のヒロインが0%か100%で約束の達成度を表しているのに、彼女だけ80%と高いけど満点じゃない数値をだしてるのは、彼女らしい謙遜さだと思いましたし、進展パートも明らかに好き合ってるのに、距離感が近すぎて掴めずない感じが、微笑ましく感じました。
 
こう改めて振り返ると理想的に掌で踊っていますね私。
 

<告白>

“記 憶 が な い” とんでもない設定を用意してくれたもんです。ですが振り返ると恥ずかしいから酒匂君呼びとか、利き手の変化とか、ちゃんと仕込はあったんですよね。個人的にはこの設定は”有り”です。
 
トークカードを改め振り返ると面白いですよ。見事なまでに爆弾しかないですから。ゲージも”恋愛意識度”とか変な名前だと思ってたんですが、彼女に関してそのまんまの意味でしたね。
 
記憶がない以上存在そのものが別。だからこそ選ばれるべきは、彼が好きだったあの子。そう結論づけて断ろうとした。幼馴染だからこそ特別に難易度が高いのが彼女。
 
故に彼女を恋人にするには並列に存在する、“過去”と”現在”の兎鞠を同時に愛するしかない。この時一応は納得していましたが、いずれ選択すべきときが来るんだろうなと思っていました。
 

<恋人>

この恋人パート極上でした。通い妻系半同棲ヒロインって強すぎますね。「いってらっしゃい」と「お帰りなさい」この二つの言葉だけで、私は骨抜きです。でも嬉しいんですよこれ言われるの。
 
細かい所ですが、相手の匂いを好ましく思うのは、遺伝子レベルで相性が良いとされるんですよね。こういう所も理想の一つだなと思います。こういうことの積み重ねが本作は良く出来てると思います。
 
終盤での呼び方を子供のころからの相性のハルくんから春輝へと変更、恋人として過ごした時間が彼女に感情が芽生えさせたことから、”現在”の兎鞠が選ばれるだろうと思ってました。
 

<不可避の三択>

「大好きな人が幸せになってくれるなら、隣りにいるのが私じゃなくてもいい」
 
記憶の戻った兎鞠からこの言葉を聞き、三つの選択肢を前にした時、如何に自分が愚かであったかを痛感しました。まさか選ばされる側だったとは…
 
感想書く以上は、最初にどれを選んだかは明言します。“好きだった兎鞠を消す”を選びました。ですが、ご存じの通りこの選択肢のどれを選ぶかに意味はありません。考えてみればそもそもこの選択程度で彼も彼女も揺らぐ筈がないのです。
 
ですが何故選んだかについては、プレイヤーにとって意味のあることではないでしょうか?
 
実はその点において私は自分を心から誇っています。何せ悩み苦しみの末に、過去と現在の両方の兎鞠への想いを勘案した上で選択出来たのですから。過去も現在も愛させてくれる、それこそが彼女が”理想”たる所以です。そして私はこの作品を最高に楽しんだ一人でしょう。
 
何せノベルゲームをプレイする上で、苦渋する選択肢に出会えることは至上の喜びなのですから。ファンタスティック。この作品と栗山兎鞠というヒロインにはこの言葉を送ります。

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