プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

あきゆめくくる 感想

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制作 :すみっこソフト(公式サイト) 
ランク:B 
 
量子力学+ラブコメ+その他いろいろな多要素SF。
色々モニョる所はあるが、根幹設定はキッチリとしているのは流石。
※後半ネタバレ有

はじめに

Wikipediaを装備しながらプレイするのをおススメします。それで大抵はなんとか理解できると思います。
 

攻略順

<実攻略順>
みはや → ノア → 歩 → 柚月 → キス → 沙織※1 → エピローグ※2
※1 メイン3人クリア後に選択肢解放
※2 沙織クリア後に解放
 
<推奨攻略順>
ライターのおススメが上記順番ですので、特に拘りが無ければこの順番でいいと思います。
 

感想(概要)

〇量子力学とラブコメの必然性
ラブコメをすることが量子学的に意味あることになっているのは凄いです。なにせ量子力学は感覚的に理解不可能な学問なので難易度が桁外れです。にも関わらずそれを使って納得のいく形で2つを融和できているのは、お見事という他ありません。
 
×センス・オブ・ワンダーの不在
未知の可能性を教えてくれることで、浪漫を与えてくれるのがSF作品の素晴らしいところだと私は思っています。ですが本作から感じたのは浪漫でなく手詰まりでした。本作に高い評価をだせないのはこれが理由の一つです。
 
〇立ち絵を用いた表現の豊かさ
1クリック内で表情がコロコロ変わる、近づく離れるが歩いている様に感じる、細かなしぐさの取り入れ等、立ち絵を使った表現のバリエーションの多さには驚きました。おそらくスクリプターの労力はヤバかったでしょう。この仕上がりっぷりには敬意を覚えます。
 
×下品を超えて下劣な会話
深夜の男子トークをもう少し下品にして、さらに悪乗りを加える狂気の光景が日常シーンでは展開されます。おまけにクドイので大分人を選ぶと思います。私は笑えるときもありましたが、キツいなと思うこともありました。
 

まとめ

ラブコメをもってループを打破するという、触れ込み通りの内容になっていて、説得力もありましたので、テキストは置いておくとして作品自体の完成度は良い線をいっていると思います。
 
ただ一番頑張った人があんまり報われていないなと感じるところがありました。私は頑張った人は常に報われて欲しいと思っています。作品上仕方ないところはあると思いますが、それでもそれを是とする作品は正直好きじゃないです。
 
※以下はネタバレ有感想です。








感想(ネタバレ有)

■伊橋 歩

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個人的にメインヒロイン4人の中では一番好きです。他がアレ過ぎるというのもありますが、責任感が強く必要以上に抱え込んでしまう性格の弱さが好みです。あとおっぱいも一番いい大きさです。
 
やはりこのルートは「だったら、一緒に死のう」が一番印象に残ってますね。消せない心のひびが決定的になった言葉です。
 
この自殺念慮を止めるには時間と治療が必要ですが、要因となった過去のネガティブをポジティブに変えることで解決するというのは、実に量子力学らしい力技で面白かったです。
 
ただ、過去から戻る際の謎の暗黒空間だけは意味が分かりません。乳歯とちはやの電波を感じ取れたことから、量子的移動を歩が認識した描写な気がしますが、それを描く必然性が微妙なので腑に落ちないです。もうちょっと分かりやすくならんかったか?

■小高 柚月

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初見の印象では温和な美少女なんですけど、作中の人物の中でも思考のヤバさがぶっちぎってます。ピンクは淫乱を極限まで煮詰めたその思考は、読み手を置き去りにしかねません。やる時はやりすぎる女というあゆやんの見解は実に正しい。
 
全ルートの中で一番出来がいいと思っています。全てにおいて想定の上を行かれました。まず去勢の理由からして凄歌の自罰感情かと思っていたら、実感の無さからくる自己不安定感が根本理念。そしてその理由が地球外意識の光人間によるもの。予想できるかこんなもん。
 
かいつまむと無茶苦茶な展開ですが、光人間に至るまでのプロセスが丁寧でなんか納得できるのが素晴らしいです。光人間の目的が種の拡散なので、性的なことに人一倍興味がある性格の理由付けまで出来ているのもグッドです。
 

■土織 キス

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無限の脳の空白と謎の2重人格という中々にそそる設定。ただ、2人きりだと普通に可愛いのに、集団になると途端にイキり始める性格は控えめに言ってクソ。でもこれを露悪趣味という設定だからというのはちょっと可哀そうだと思う。
 
個人的に期待していたルートだったんですがイマイチでしたね。先ずそもそも別人格のドリドリが目立ちすぎてキス自体の影が薄いですし、ウイルス化とかの設定もパンドラウイルスの未知性でゴリ押した感じがして説得力が足りてないです。
 
でもドリドリも気に入っていた「恋は重力」は私も好きな表現です。相手を焦がれる感情を引力に例えるのは中々センスがいいと思います。人類が絶滅するまで待ってるね♡も年季(数十億年)の違いを感じて素敵です。やはりこれドリドリルートでは?
 

■佐々木 沙織

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アルコールを体内でエネルギー変換できる人類の希望。ナイフ、おっぱい、アル中だけで説明できるただのヤバい人ですが、乙女心が純粋で一番全うな恋心を持っているのはギャップがあっていいです。ただ全部終わってから考えると虚しくもありますが…
 
このルート実質轟山サトリルートです。少なくとも沙織のための物語ではない、ぶっちゃけ沙織はサトリが負けるための舞台装置でしかないというのが個人的な感想です。キスルートもそうですが中核におく存在を間違えています。
 

<轟山サトリについて>

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本作のキャラクターで一番好きなのはサトりんです。ちなみに一番嫌いなのは主人公です。結局のところこの物語は、好きになった男がクソマゾメンヘラ好きのどうしようもない奴だったせいで、恋が叶わなかった少女の悲劇です。
 
不幸にも彼女は恋が叶う宇宙がないことを理解できてしまいました。普通はそこで折れますが、更に不幸なことに彼女の心は強かったため、可能性を模索し続けてしまいました。無限の猿定理を実行するのは、どれだけ屈強な精神がいるのか想像も付きません。
 
しかし試行に試行を重ね続けた果てに”自分は好きになってもらえない”という結果が得られてしまったっていうのはあんまりではないでしょうか。努力が報われないのは現実だけで間に合ってるんですよ。
 
確かに彼女は諸悪の根源かもしれませんが、その心根は優しいんですよ。心象風景の銀杏の墓を見れば一目瞭然です。銀杏の花言葉は”鎮魂”他宇宙の自分自身にも弔いの念を持っているのです。そんな子が報われない本作は物語としてはド三流です。

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