プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

白昼夢の青写真 感想

20201019-00.png
制作 :Laplacian(公式サイト)
ランク:A
3種の恋物語と世界と呼ばれた少女の話。
結びに賛否あれど、熱のこもった力作。
※後半ネタバレあり

攻略順

<実攻略順>
CASE-1 → CASE-2 → CASE-3 → CASE-0(固定)
<推奨攻略順>
CASE-3 → CASE-2 → CASE-1 → CASE-0(固定)
※全体の流れを汲むとこの順が最適です。

システム

〇CASE毎に変わるUI
CASE毎に雰囲気にあったUIに変わっていたのは、どの話も大切にしている感じがして好感が持てました。

感想(概要)

〇胸を締め付けるシナリオ
どのCASEも迫りくる別れの寂しさを感じる内容になっており、だからこそ際立つ、つかの間の幸福の描写は素晴らしいものがあります。その美しい儚さに何度も胸をギュッと締め付けられました。
 
〇儚く美しい白髪赤眸の少女達
元々のキャラクターデザインが優れているのもありますが、上述のシナリオ以外にも、CGや音楽を演出面も優れています。渾身の演出に彩られた彼女達には、息をのむ美しさを感じます。
 
△好みの別れる結末
CASE-1~3がCASE-0に収束するギミック、世界観設定は見事ではありますが、オチの部分を含めておそらく、好みの差が相当出る気はします。個人的には核心部の思想が好きではないので、趣味ではなかったです。
 
×蛇足なエピローグ
全てが悪いとはいいませんが、もう少しやりようがあったかなとは思います。
 

まとめ

CASE-1~3に関しては好みの差はありますが、どれも好きです。ただし最後のCASE-0については結末そのものは嫌いではないですが、そこに至る作品の思想が、私とはズレていてあまり好きではないです。
 
作品のそこかしこから作り手の意思を感じる力作であることは、間違いないので、水が合えば唯一無二の作品になったと思うだけに、残念に思ってしまいます。でもまぁどうしようもないことです。
 
※以下はネタバレ有感想です。
 
 
 
 
 

感想(ネタバレ有)

■CASE-3:桃ノ内 すもも

20201019-01.png
その名に違わぬ、桃色の華やかな年上の女性。思ったことが口に出る、良くも悪くも単純な思考の方ですが、それ故に考えがちなカンナくんと、相性がいい気はします。
 
すももが姿を偽るのは向いてない性分なのは同意ですが、個人的にはそれ自体が悪だとは思いません。常に誇れる自分でいるのは理想ですが、現実的にはそうもいきません、少なくとも仕事においては、仮面を被らないと私には無理です。
 
ただこと創作におけるこのCASEの思想である「自分が楽しめるものでないと意味がない」は好きですし共感します。他の誰もでない自分を騙すと、後悔の残る作品しかできないものです。
 
別れの物語ではありますが、成長し再会を約束する話でもあるので、一夏の物語に相応しい、寂しくも爽やかな感じが悪くないです。
 
ただエピローグはちょっと冗長でしたね。鍵返すとことかは好きですが。
 

■CASE-2:オリヴィア・ベリー

20201019-02.png
眉目秀麗で思わず傅きたくなる雰囲気の勝ち気な女優。ウィルと一緒の時は楽しそうで、そういうときは可愛らしくもあります。喜怒哀楽が全て様になる辺り、役者になるために生まれたは伊達ではないです。
 
全CASEの中でもっとも完成度が高いと感じた話です。史実におけるシェイクスピアの曖昧さを上手く利用し、本作の登場人物として合うよう、良く設定されています。
 
特に「ロミオとジュリエット」の扱いは、メインなだけあって特に優れていて、2人の恋路の結果にすることによって、その愛を永遠に残すという展開は、あまりに美しく、作品へのリスペクトも感じられてとても気に入っています。
 
人類史にその名を刻む、教養の粋に到達した物語であり、未来永劫語られる恋愛悲劇のマスターピースを使っただけはあり、切ない読後感が素晴らしいです。(エピローグ?あんなものしりません)
 

■CASE-1:波多野 凛

20201019-03.png
物静かだがどこか蠱惑的な魔性を秘めた少女。とはいえ負けず嫌いでムキになるところなんかは年相応に見えますし、好きな人の一番になりたいだけの真っすぐな娘なんですよね。
 
本作で一番好きなCASEになります。この主観を担当する有島芳という男から発せられる人の弱さ、そして文章が持つ魔力というものを存分に感じられ、すごい好みでした。
 
特段印象深いのは。凛の父である秋房の思想に同化し、厭世の念を募らせる所です。その様は鬼気迫るものがあり、目を離すことが出来なかったです。そして結局死ねないのも、また人らしい弱さで好ましく思います。
 
死の淵から生還し、凛への感情以外を一切排して書かれたその文章は、究極のラブレターといっても過言ではないでしょう。そんなもの読まされたら、そりゃもう一発で墜ちますよ。うらやましいですね。そんなものを書ける彼と読める彼女が。
 
最後に子供が宿ってしまい、負担になるまいと1人産む決心をして、この物語の幕が(一時)終わりますが、中途半端な終わりだったので消化不良でした。まぁエピローグで補完されたので、問題はなかったですけど。
 

■CASE-0:世凪

20201019-04.png
幼少のころから海斗共に在る世界となる少女。仕事をして、趣味で小説を書き、そして好きな人と暮らしいれば十分などこにでもいそうで滅多にいない素敵な女性です。
 
CASE-1~3のヒロインはそれぞれが彼女の分身であり、それを示すかのように対比となるCGがそれぞれ存在しています。こういった細かいところが、この作品非常にいいですね。
 
このCASEは設定の開示という役割を担っているせいか、字の文での説明が多く、正直いって冗長と感じる部分がありました。正直言って半分も覚えてないので、圧縮して欲しかったです。
 

遊馬の独白について

この独白で明らかになった、基礎欲求欠乏症の設定はかなり好きです。知恵の実を求めたが故に楽園を追放された人が、求めること止めたから死ぬようになるとは、皮肉が利きすぎています。
 
遊馬の「幸福を見出した人間から死ぬのはあんまりだ」は、この世界の酷さをこれ以上なく要約した言葉ですね。救いが無さすぎて、彼が絶望するには十分過ぎるほどです。
 
世凪の脳を切除したことも、遊馬の独白をうければ理解できなくないので、そこまで敵意がなかったりします。むしろ海斗の方が楽観視し過ぎというか、もう少し危機感を持つべきでは?と思ったぐらいです。
 

世凪(であったもの)の決断について

自らの手で世界となることを決断した彼女の決断は尊重はします。彼女なりに、海斗を幸せにしたくて決断したことも分かります。
 
ですが海斗への好意もどこか他人事で、いつ体も心も動かなくなるか分からない、そんな状態で世界になる以外選べるとは到底思えません。そう思った以上到底感動などできる訳もなく、逆に胸糞悪くなっただけです。
 
基礎欲求欠乏症の設定を好きと言ったのも、作中で否定されることを期待したからです。それが否定されないのであれば、ささやかな幸福を感じるのは死に値すべきことになり、世凪の「海斗と穏やかに過ごしたい」も否定されるべき感情になります。ありえないでしょう。
 
善人がババを引かなければならない世界など、創作だからこそあってはならないのです。少なくとも私はそんな世界を肯定する作品を、好きになることはありません。

コメント