3種の恋物語と世界と呼ばれた少女の話。
結びに賛否あれど、熱のこもった力作。
※後半ネタバレあり
結びに賛否あれど、熱のこもった力作。
※後半ネタバレあり
攻略順
<実攻略順>
CASE-1 → CASE-2 → CASE-3 → CASE-0(固定)
CASE-1 → CASE-2 → CASE-3 → CASE-0(固定)
<推奨攻略順>
CASE-3 → CASE-2 → CASE-1 → CASE-0(固定)
※全体の流れを汲むとこの順が最適です。
CASE-3 → CASE-2 → CASE-1 → CASE-0(固定)
※全体の流れを汲むとこの順が最適です。
システム
〇CASE毎に変わるUI
CASE毎に雰囲気にあったUIに変わっていたのは、どの話も大切にしている感じがして好感が持てました。
感想(概要)
〇胸を締め付けるシナリオ
どのCASEも迫りくる別れの寂しさを感じる内容になっており、だからこそ際立つ、つかの間の幸福の描写は素晴らしいものがあります。その美しい儚さに何度も胸をギュッと締め付けられました。
〇儚く美しい白髪赤眸の少女達
元々のキャラクターデザインが優れているのもありますが、上述のシナリオ以外にも、CGや音楽を演出面も優れています。渾身の演出に彩られた彼女達には、息をのむ美しさを感じます。
△好みの別れる結末
CASE-1~3がCASE-0に収束するギミック、世界観設定は見事ではありますが、オチの部分を含めておそらく、好みの差が相当出る気はします。個人的には核心部の思想が好きではないので、趣味ではなかったです。
×蛇足なエピローグ
全てが悪いとはいいませんが、もう少しやりようがあったかなとは思います。
まとめ
CASE-1~3に関しては好みの差はありますが、どれも好きです。ただし最後のCASE-0については結末そのものは嫌いではないですが、そこに至る作品の思想が、私とはズレていてあまり好きではないです。
作品のそこかしこから作り手の意思を感じる力作であることは、間違いないので、水が合えば唯一無二の作品になったと思うだけに、残念に思ってしまいます。でもまぁどうしようもないことです。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
■CASE-3:桃ノ内 すもも
その名に違わぬ、桃色の華やかな年上の女性。思ったことが口に出る、良くも悪くも単純な思考の方ですが、それ故に考えがちなカンナくんと、相性がいい気はします。
すももが姿を偽るのは向いてない性分なのは同意ですが、個人的にはそれ自体が悪だとは思いません。常に誇れる自分でいるのは理想ですが、現実的にはそうもいきません、少なくとも仕事においては、仮面を被らないと私には無理です。
ただこと創作におけるこのCASEの思想である「自分が楽しめるものでないと意味がない」は好きですし共感します。他の誰もでない自分を騙すと、後悔の残る作品しかできないものです。
別れの物語ではありますが、成長し再会を約束する話でもあるので、一夏の物語に相応しい、寂しくも爽やかな感じが悪くないです。
ただエピローグはちょっと冗長でしたね。鍵返すとことかは好きですが。
■CASE-2:オリヴィア・ベリー
全CASEの中でもっとも完成度が高いと感じた話です。史実におけるシェイクスピアの曖昧さを上手く利用し、本作の登場人物として合うよう、良く設定されています。
特に「ロミオとジュリエット」の扱いは、メインなだけあって特に優れていて、2人の恋路の結果にすることによって、その愛を永遠に残すという展開は、あまりに美しく、作品へのリスペクトも感じられてとても気に入っています。
人類史にその名を刻む、教養の粋に到達した物語であり、未来永劫語られる恋愛悲劇のマスターピースを使っただけはあり、切ない読後感が素晴らしいです。(エピローグ?あんなものしりません)
■CASE-1:波多野 凛
本作で一番好きなCASEになります。この主観を担当する有島芳という男から発せられる人の弱さ、そして文章が持つ魔力というものを存分に感じられ、すごい好みでした。
特段印象深いのは。凛の父である秋房の思想に同化し、厭世の念を募らせる所です。その様は鬼気迫るものがあり、目を離すことが出来なかったです。そして結局死ねないのも、また人らしい弱さで好ましく思います。
死の淵から生還し、凛への感情以外を一切排して書かれたその文章は、究極のラブレターといっても過言ではないでしょう。そんなもの読まされたら、そりゃもう一発で墜ちますよ。うらやましいですね。そんなものを書ける彼と読める彼女が。
最後に子供が宿ってしまい、負担になるまいと1人産む決心をして、この物語の幕が(一時)終わりますが、中途半端な終わりだったので消化不良でした。まぁエピローグで補完されたので、問題はなかったですけど。
■CASE-0:世凪
CASE-1~3のヒロインはそれぞれが彼女の分身であり、それを示すかのように対比となるCGがそれぞれ存在しています。こういった細かいところが、この作品非常にいいですね。
このCASEは設定の開示という役割を担っているせいか、字の文での説明が多く、正直いって冗長と感じる部分がありました。正直言って半分も覚えてないので、圧縮して欲しかったです。
遊馬の独白について
この独白で明らかになった、基礎欲求欠乏症の設定はかなり好きです。知恵の実を求めたが故に楽園を追放された人が、求めること止めたから死ぬようになるとは、皮肉が利きすぎています。
遊馬の「幸福を見出した人間から死ぬのはあんまりだ」は、この世界の酷さをこれ以上なく要約した言葉ですね。救いが無さすぎて、彼が絶望するには十分過ぎるほどです。
世凪の脳を切除したことも、遊馬の独白をうければ理解できなくないので、そこまで敵意がなかったりします。むしろ海斗の方が楽観視し過ぎというか、もう少し危機感を持つべきでは?と思ったぐらいです。
世凪(であったもの)の決断について
自らの手で世界となることを決断した彼女の決断は尊重はします。彼女なりに、海斗を幸せにしたくて決断したことも分かります。
ですが海斗への好意もどこか他人事で、いつ体も心も動かなくなるか分からない、そんな状態で世界になる以外選べるとは到底思えません。そう思った以上到底感動などできる訳もなく、逆に胸糞悪くなっただけです。
基礎欲求欠乏症の設定を好きと言ったのも、作中で否定されることを期待したからです。それが否定されないのであれば、ささやかな幸福を感じるのは死に値すべきことになり、世凪の「海斗と穏やかに過ごしたい」も否定されるべき感情になります。ありえないでしょう。
善人がババを引かなければならない世界など、創作だからこそあってはならないのです。少なくとも私はそんな世界を肯定する作品を、好きになることはありません。
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