プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

はじめるセカイの理想論 -goodbye world index- 感想

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制作 :Whirlpool 
ランク:S 
 
転生された世界で幸福と理想を語り合う優しき創世記。
※後半ネタバレあり。
<実攻略順>
ハルカ → ヒナギク → ヨル → ティア → ヘルミリア → ノゾミ → シン
 
<推奨攻略順>
ヒナギク → ハルカ → ティア → ヘルミリア → ノゾミ or ヨル → シン
 
※1 ノゾミ、ヨルはメインヒロイン一人攻略後に解放。シンルートへ向けての復習も兼ねることができるので、メインヒロイン → サブヒロインの順番を推奨
※2 シンルートは六人のルート攻略後に解放

感想(概要)

〇シナリオの品質が高い
特筆すべきはメインシナリオが全部が面白いという驚異的なクオリティの高さです。全てをTrueルートとして扱うつもりで作った(参考:公式BLOG)とのことですが、それを有言実行している出来です。
 
〇心地の良い読後感
理想の世界の在り方は個人個人で違います。ですが本作が最後に示す”結論”は多くの人の賛同を得られるものだと思います。”優しさ”で満ちた本作を読み終えた後、私の心は穏やかに凪いでいました。
 
〇キャラクターの内面描写が濃い
理想の世界を追及するテーマという構成が良かったのもあるのですが、どのキャラクターも背景があり徹底的に内面の深堀されます。能力も内面を反映しているのものになっていて面白いです。
 
〇エッチで可愛いヒロイン
今までメーカーを支えてきたといっても過言ではない、水鏡まみず先生の可愛くも肉感的な画風は本作でも健在です。エッチシーンも充実していてどのヒロインも役割が持てました。
 

まとめ

正直なところ困惑しています。まさかWhirilpoolというメーカーからキャラクター、シナリオ、プロット全てが高水準の作品が出てくるとは思いもしませんでした。いったい何があったのか…
 
まみず先生の描くヒロインは相変わらずエッチで大変良かったですが、近江先生のシナリオも非常に良かったです。特に”優しさ”の描写は見事でした。今後も期待させてもらいます。
 
そして思い出させてくれたことに心より感謝します。私が絵空事のように綺麗で優しさに溢れた世界が大好きで仕方ない人間だということを。この気づきを今度は忘れません。
 
※以下はネタバレ有感想です。
 
 
 
 
 
 

感想(メインヒロイン)

■共通

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転生作品のイメージを上手く使っていました。死に際に異世界の神に招かれそこで敵を倒して英雄となる。このド王道の展開を使って世界観とキャラクターを読者になじませています。
 
またヒロインどうしの掛け合いも豊富で”仲間”という感じを持てたのも強いです。それでいて各ヒロインの内面に対する匂わせを用意するなど抜かりがありません。
 
そして主人公の能力であるダウトの設定のおかげでメリハリが出て飽きが来なかったのもグッドでした。これは作品を通して言えますね。こういった下準備良さが個別のクオリティに繋がったのだと思います。
 

■綾月ハルカ

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考察力の高い彼女との対話は楽しいものでした。個人的には「本は可能性を可能性のまま無責任に投げてくる」という言葉が気に入っています。書に理想を見出した彼女らしい言葉ですね。
 
こういう何度もヒロインアタックをかける構成は好きなんですよね。徐々に心を開いてくれてる感じと恋人になったときの達成感がいいです。実際恋したハルカの可愛さは期待以上でした。
 
クール系特有の笑顔の破壊力だったり、嫉妬がお可愛かったりと可愛い点は無数にありますが、やはり恋の検証に“恥じらい”を見せるようになったのが最押しですね。感情の変化も相まってたまらないのものがありました。
 

<シナリオ>

実はプレイ中は彼女の文明はそこまで間違ってないと思っていました。戦争と病に怯えなくてすむ理想郷(完全社会主義世界)を実現するために、代わりに感情を差し出すのも一つの選択だろうと。
 
ですがそれは緩やかな死を受け入れたのと変わらないのですよね。完全に見えるハルカの世界も恒星と共に滅びるしかない不完全なものだったわけです。故に人から感情を奪った世界に進歩も先もないということなのですね。
 
綾月ハルカの解答は
「未踏の荒野へ踏み出す勇気さえあればどんな世界でも構わない」
 
滅びゆく文明の最後の導き手が出した結論が“勇気”とは…どうやら人間というのは進化することを止められない生命のようですね。最後に宇宙に飛び出してしまう型破りもどこまでに理想に貪欲な彼女らしい締めです。
 

■最上ヒナギク

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最初は考えなしに猪突猛進なところがあまり好きではなかったです。ですが物語が進み心の内が分かると、実に私好みの悩みを抱えているではないですか。気づいたときには目が離せなくなっていました。
 
また、このルートのシンくんもかなり攻めてます。睡蓮が舞う月夜の告白なんていうロマンティックな告白が過ぎます。ですが彼女をよく知ったからこそできたことなんですよね。代理で彼女を演じたときの解像度がやたら高いのも納得です。
 
シンの部屋で熟睡している彼女を見たときとても嬉しかったんですよね。戦乱の世で生きた彼女が無防備な姿を見せてくれるのは心を許してくれる証です。一夜を供にしたのに初心な反応を見せてくれるのもまたいい…
 

<シナリオ>

“贖罪”の念から自罰に走るキャラは珍しくありませんが、彼女の良いところは己の在り方に悩みならが行動したことです。英雄の在り方というものは苦悩なしで辿り着けるものではありません。
 
ただの剣である以外に生き方を知らないにも関わらず、平時に役割を見出すために鍬を握るなど常に在り方を模索していました。だからこそ主君の言葉を受け止め、答えを見出すことができたのです。
 
最上ヒナギクの解答は
「英雄の居場所などがない世界であるべき」
 
なぜ英雄になりたいのかを突き付けていけばそれは平和のためなのです。ならば剣(英雄)は不要に至るのは自然な流れです。ですがこれは英雄の先にある考え…それにたどり着いた時点で彼女はもう“英雄”だったのですよ。
 

■ティア=フォーレンタイト

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彼女のCGがあまりにもエッチだったのが購入の決め手だったのですが、滅茶苦茶ヤバい女でビビりました。正直ダウトなしで対応可能な存在ではないです。だって無理でしょあの体の誘惑に逆らうの…
 
とは言っても一番分かりやすいヒロインだったりもします。ただ一つのことにあまりにも一途すぎるだけなんですよね。事実シンの言う通り彼女は一度たりとも「愛を知りたい」という願いに嘘をついてません。
 
いくら体を重ねようとも一向に心の距離が縮まらないのは見ていて痛ましかったです。進むにつれ肉欲に溺れる彼女を見て自分は本当に純愛ゲーをやっているのか?と不安にかられたほどです。
 

<シナリオ>

シンがダウトを打ち明けられなかった唯一のヒロインですが、これは仕方がないなと思っています。双方が自分を曝け出すのを避けて”嘘”という鎧を脱ごうとしないのですから。
 
私からすればこのルートのシンも大概な嘘つきです。「本音を打ち明ければ彼女が壊れる」と体のいいことを言っていましたが、ただ打ち明けるのが怖かっただけに思てしまいます。
 
それにしても二人はあまりも似すぎています。片方は誠実さを、もう片方は愛を余り美化しすぎていたが故に、それが幻であることを恐れ理解に至れなかった。それでも本当の最後には“愛”を分かり合えただけ幸福なのかもしれません。
 
ティア=フォーレンタイトの解答は
「誰もが守られていると我が子に教えられる世界」
 
再転生後の世界でティアラに囲まれる幼き彼女を見たとき心底から「良かった」と思わずにいられませんでした。前世は国、卵では愛、そして転生後はシンに一途。世界が変われども彼女の一途さは不変のようですね。
 

■ヘルミリア=ヴァン=ノクスローゼ

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魔王という設定上憎まれ口をたたいたり孤高の存在であることを気取りますが、読んでいるこちら側からはダウトで嘘なのが丸わかりなのでかえって愛らしかったです。
 
彼女が他者に嘘をつくときは相手を想ってわざと厳しい態度をとる優しい嘘ばかりでした。どのルートでも心配して声をかけてくれるので能力などなくとも彼女の性根が優しいのが分かってしまいます。
 
だが彼女の真価はやはり恋人になった後でしょう。見栄をはった後に素になってシュンとなる姿とその時の甘い声の可愛いこと!素の弱気な言葉を聞けるのが恋人だけだと考えると高ぶるものがあります。
 

<シナリオ>

ダウトのカミングアウトで衝突が発生した唯一のヒロインですが、当たり前なんですよね。他人に心を除かれて気分がいい訳がありません。特に”嘘”という鎧を着ていた彼女には特攻でしょう。
 
だからこそシンの行動の評価は高いです。他人に心の開示を強要した以上、こちらも全てを曝け出す以外に誠実さを証明する手段は皆無です。お互いを共有した彼と彼女が恋人になるのは必然以外の何ものでもありません。
 
また孤独は心蝕む病なのは間違いありません。救える方法はあるのなら救いたい気持ちも分かります。ただ、今のシンとの幸福を捨て、自分が死ぬリスクすらも受け入れて、彼を真の意味で救おうとする彼女の心はあまりにも強い。それは魔王ではなく勇者と呼べるほどに。
 
真柴留美(ヘルミリア=ヴァン=ノクスローゼ)の解答は
「半径1メートルの私の理想郷…心からいたいと思える場所」
 
シンの優しさがヘルミリアを救い、救われた留美が真(まこと)を救う。優しさが強さにその強さが優しさとなってお互いを救う。美しいとしかいいようがありません。まさしく「情けは人の為ならず」です。

感想(サブヒロイン)

■ヨル

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突然の白髪赤目ロリの登場に戦慄が走ったのをいまでも覚えています。世界の敵として設定された彼女が今際の際に「死にたくない…」と口にした彼女のことは私も気になっていました。
 
楽しみにしていざルートに入ってみると…なんだこの可愛い生き物は?これが“イキリよわよわ”というNewジャンル!新世界の扉はここにあったというわけか…
 
これだけだとただのよわよわロリですが、世界の敵たる役割を持っていただけあってディベートはかなり強く舌を巻きました。そんな彼女がヒロイン達と関わって、世界のあり方を知ろうとするのは微笑ましかったです。
 
ヨルの解答は
「誰もが目を細めて生きられる…ひだまりのような優しい世界」
 
人の愚かさを知りながら善くしてくれた人のためにクッキーを作ろうとする。意地っ張りな彼女がそう言える世界はそうなのかもしれません。
 

■ノゾミ

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自我を得たアンドロイドというスペシャル中のスペシャル。”神ちゃん”が驚くのも無理はありません。こんな設定サブだから許されるものですよ…大胆なことをしてくれます。
 
ノゾミの解答は
「不完全な世界の成果物である彼らをどうして否定できるだろうか。ならば世界は不完全でいい。」
 
ヨルもそうなのですがサブヒロインのルートでは明確に“完全の否定”がされています。本作において幾度も語られる重要な意味を持つ思想です。だからこそサブを後回しにするのを推奨しました。
 

感想(シン)

■小野宮真(まこと)

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どれかひとつだけルートを選べと言われたらこのシンのルートをTrueとして選びます。それほどまでにこのルートの流れは美しく、提示された世界が理想的だからです。
 
本作のメインテーマは<汝の隣人を愛せよ>だと思っています。この考えはキリスト教の根幹なので断定はできませんが、“自分を許すように他人の過ちを許す”という意味だと私は捉えています。
 
実はこの言葉の難しいところは後者ではなく前者の“自分を許す”だと思っています。そして小野宮真という人間は後者を十分すぎるほど持ち、前者をほとんど持たないアンバランスな存在でした。
 

<創世>

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世界に清らかさを求めた彼はあまりに向いていない行為です。託してくれた仲間のために妥協する自分を許せず、終いには清らかを求めるがあまりに、反転たる地獄の創造にいたったのですから。
 
人は一人として完全ではない以上”神ちゃん”の言う通り、世界の創造など初めからできるものではありません。ですが信頼できる<善き隣人>と供にあるのなら話は別です。
 
人は不完全だからこそ補完し合って生きてきた生命です。彼が”自分を愛せない”のなら<善き隣人>が彼を愛すればいい。それだけの行いをしてきた彼を、彼女らが救おうとしないはずがありません。
 
小野宮真および救世委員会の結論は
「誰もが夢を見て、願いが共存し、尊重し合える世界」
 
なんて夢より夢な世界なんでしょう。でも私には否定できないんですよ…もし今際の際に理想を語り合える世界なんてものが現実にもあればいいなぁ…って、他ならぬ私がそう思ってしまっていたんですから…
 

<誰もが願える場所>

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最後にこの世界のシンの能力について語るとしましょう。“ハッピーメーカー”誰かを笑わせたら世界のどこかに花が咲く能力。彼は転校の挨拶で誇りを持ってその能力を紹介しました。
 
これは彼が“自分を愛する”ことができるようになったら他ならぬ証明です。そして世界の全てを愛そうで締めとなる。ファンタスティック!これほど清々しい読後感をあじわったのは久しぶりです。最高の物語でした。

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