プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

終のステラ 感想

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制作 :Key(公式サイト)  
ランク:S 

文明が崩壊した時代の運び屋の男とアンドロイドの少女の旅路。 
無駄なく研ぎ澄まされた完璧といえる一品。
※後半ネタバレあり

攻略順

ありません1本道です。

感想(概要)

〇驚異的な質と量を兼ね備えたCG群
退廃的な世界観にマッチした美しもどこか薄暗いCGは勿論のこと、驚嘆すべきはその枚数の多さです。これほどの質と量を兼ね備えた作品はフルプライスでもほぼありません。次々に新しいCGが出てくるので飽きというものが無かったです。
 
〇期待を裏切らない話の流れ
シンギュラリティにより退廃した世界で、運び屋の主人公と出会い成長するアンドロイド少女。この説明からイメージできる期待通りのストーリが出ます。ただし品質は想定のはるか上でした。
 
〇人間とアンドロイドの違いが明確に描かれている
特に高く評価している点です。この違いを語るうえで私が説明して欲しいことが全て出てきました。感涙ものです。着地点も納得がいくものなのでケチのつけようがありません。
 

まとめ

素晴らしいCG群、テーマに沿って真っすぐ進む凝縮されたシナリオ、読後感の良い終わり方、お見事という他ありません細部に神が宿っています。泣かないと思っていたんですが最後に泣かされました。流石はKeyです。
 
類似した作品としてATRI -My Dear Moments-を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、そちらに負けず劣らずの出来です。2000円でこのクオリティーが当たり前になってくれれば嬉しいですが、ちょっと贅沢が過ぎますかね。
 
※以下はネタバレ有感想です。






感想(ネタバレ有)

■人間とアンドロイドの境界

私はこの3種の条件を満たす場合、そのアンドロイドを”人間”とみなします。結論から申し上げるとフィリアは間違いなく”人間”です。

1. 感情の6情(喜・怒・哀・楽・愛・憎)を持つこと

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フィリアが前4情を持つことは疑う余地もないです。グロウナー博士のお墨付きの通り、かなり初期段階でこれらを獲得していました。
 
美味しいものを食べて「喜び」、自分自身を軽んじるジュードに「怒り」、粗食に耐えるしかないメガロポリスの人間達に「哀れみ」を覚え、旅の風景を「楽しむ」。その他にも色々思いつきますね。
 
ですが後2情を獲得したのはあの車の中であると思っています。一見「愛」は初めから持っていたように思えますが、博愛主義はあくまでAe型の特徴として設定されたもので、フィリアが獲得したものではないと考えます。
 
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心無い言葉で否定され「憎しみ」によりジュードに銃口を向け、それでも彼を父親として「愛している」から彼女は銃を撃てないのです。表裏一体の「愛憎」を持つもの、それこそが人間です。
 
ただ老人の言っていた「恐怖」も間違いなく人間の感情なので、こういう考え方する奴がいるんだなぐらいに思ってもらえると幸いです。
 

2. 「夢」を持つこと

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本作風に言うなら「やりたいこと」ですかね。「人間になりたい」を自我により覆した彼女はまさしく「夢」を持つものです。ついでに言うと子供に「夢」を与えられる親はいい親だと私は思っています。
 

3. 「死」の意味を理解すること

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DNAにそれが刻まれている人間と違い、機械であるアンドロイドが理解できるかを描けるかどうかは、この手の作品を読むうえで重要だと思っています。
 
ただフィリアがこれを理解しているかどうかなどという、詮無きことを言うつもりはありません。「埋葬」の表現お見事でした。
 

■ジュード・グレイの本能

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上記を人間とアンドロイドの境界とするなら、人間と獣の境界は矜持でしょう。妻と子を見捨てたことを後悔しているのに、生きているのは仕事という合理的な矜持に縋れているからです。
 
ですがトラウマにすらなっている子供を助ける”やりなおし”のチャンスを与えられて「合理的でいられるか?」と問われれば、私は迷いなく”No”という答えを出します。その時人間は獣と同様に生物の「本能」に従うでしょう。
 
我々のDNAに刻まれた子を愛するという「本能」に従って、銃を撃たないはずがない。合理的な矜持など知ったことではありません。だからこそウィレム・グロウナーを撃つのは生物の選択です。今のフィリアにその資格はありません。
 
ですがいつかどこかで彼女はその資格を手に入れるでしょうね。

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