プレイ中:魔法少女消耗戦線DeadΩAegis

ファタモルガーナの館 感想

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制作 :NOVECTACLE(公式サイト) 
ランク:S 
魔女に呪われた洋館を舞台としたホラーサスペンス。
どれほど運命が過酷だろうと純愛は全てを穿つ。
※後半はネタバレ有
1本道です。Trueエンドにたどり着くのは難しくないとは思いますが、7つのBAD回収は骨が折れますので、素直に攻略サイトを参考にするといいです。全部集めるとプロローグが見れるようになります。

感想(概要)

〇抜群の雰囲気
舞台にマッチした西洋風イラスト、感情を揺さぶるクラシカルな音楽、そして陰鬱と耽美が混じったテキストが”呪いの館”という本作の世界観に仕上げています。このレベルのものはそうはありません。
 
〇美しいシナリオ構成
異なる時代に起きた悲劇がつながる様も素敵ですが、ストーリーライン自体は自然であるのが凄いです。当たり前のように謎が終息し、あるべき結末に至る様は美しいとしか言いようがないです。
 
〇説得力のある認識転換
驚きはさほどではなかったですが素直に納得できる展開でした。気づけないこともない気がしますが一度固まった認識を覆すは難しいですね。お見事な一手です。
 

まとめ

どの要素も質が高くかつ調和もしているので完成度が非常に高いです。館に潜む謎に向かう謎が徐々に明らかになっていくため、先の展開が気になり読み進める手を止めるのに苦労したものです。
 
ラストも間違いのない展開をしてくれているので読後感も良かったです。ボリュームもそこそこあるのにクォリティにも隙がありません。評判がいいことは知っていましたが、ここまでとは思いませんでした。大満足です。
 
※以下はネタバレ有感想です。







感想(主演)

■ミシェル

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本作の主人公。世界を呪うに値するほどの苦痛と恥辱の生涯であったにも関わらず、自己の消滅を願ったその名が示す通り天使が如く存在。舞台裏明かされた通り、善と正義が彼の本質で疑いようがありません。
 
本作のテーマに「”孤独”こそが最も心を蝕むものである」というものがあると思いますが、それを主要キャラクター(ミシェル、ジゼル、モルガーナ)に分けて表現しているのは上手い構成だなと思っています。
 
また、彼がトランスジェンダーであったのは驚きましたが同時に色々納得できました。彼が生きた時代は、異端は殺せを地で行く魔女狩り時代なので、肉体精神ともに異端of異端な彼にとって、暗黒の中世を生きるのはあまりにつらい。
 
それでも彼が世界を呪わずにいられたのはジゼルの存在が大きいのは勿論ですが、生来の善と正義の性質を違わなかったのも要因ではないのでしょうか。やはり善に生きる人間が幸せになるべきです。彼と彼女が果てに出会えたのは私から言わせれば必然のことです。
 

■ジゼル

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ミシェルのヒロイン。他二人より相対的にはマシな不幸かもしれませんが、それでも運がないで済ますには辛すぎる人生です。にも関わらず彼女には前向きに人を信じようとする得難い強さがあります。
 
話し合わなければ理解し合えないのに、人を何より自分を信じて話し合うということはとても難しいことです。だからこそ腹を割って話あった後の信頼しあえる関係というのはよいです。直後のミシェルとのぎこちない距離感は甘酸っぱくて美味でした。
 
彼女の殻である”館の女中”はミスリードの役割も大きかったですが、同時に”孤独”への対抗として不可欠なものであったのも事実です。膨大な時間と白い髪の少女の存在から、耐えきれず殻に飲み込まれましたが致し方無いことだとは思います。
 
それでもミシェルに導かれ、自分の悲劇を受け入れて生来の明るさを取り戻せたのは何よりだと思います。ただ個人的には女中の彼女も捨てたがたくはありますがね。
 

■モルガーナ

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呪いの魔女にして奇跡の聖女たる作品のヒロイン。高潔たる崇高な精神を持ちながら、全てに裏切られ憎きものを呪ってしまった、善悪両方の極地に至った救われるべき人。本作のキャラクターの中ではぶっちぎりで好きです。
 
聖血にて語られる彼女の生前は凄まじいにもほどがあります。天におわす父上とかいうのは禄でもないですね。この生涯を追体験させられて耐えきるのは”不可能”と断言してもいいでしょう。救済の天使でもない限りは…
 
私は彼女の全てを肯定します。聖女たる生き方は勿論のこと、死の直前に呪いをかけることも当然とすら思います。彼女は彼らを呪う権利がある。
 
ただ人を呪い続けって多分辛いと思うんですよ。「The last dorr」の真実の別側面で彼らに情緒酌量の余地があったというのも理由だと思いますが、どこかで呪うのを辞めたかったのが本音ではないですかね。私としては彼女がもう呪わなくてよくなって何よりです。
 
後、最後に立ち絵で現れたモルガーナ可愛すぎるんですよね。毒舌化なのにちょっと不安しいだったり、聖女で魔女なのにそういう人間くさいところが本当にたまらない。
 

感想(助演)

■メル

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亜麻色の髪の兄。彼の優しさは確かに自己愛からくるものではあると思いますが、誰だって持ってるレベルのものですし、まだ若い彼に責を問うのは辛辣だなとは思いました。
 
とはいえモルガーナを裏切って幽閉に加担したのは事実ですので、呪われるのは仕方がありません。時間と経験があれば選択出来たのかもしれませんが、神とかいうのはそういうの考慮しませんからね…
 
「The first dorr」に関しては流石に被害者かなとは思います。母の不貞と妹の狂気を看破しろとか不可能です。この理不尽さは流石魔女の呪いといったところでしょうか。
 

■ネリー

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亜麻色の髪の妹。極度のブラコンで兄に懸想していますが、それもまた幼さからくる王子様への憧れと、病弱、貴族社会といった世界の狭さが原因な気がするので、境遇が悪かった子だなとは思います。
 
愛され上手な我儘なのは確かですが、兄への憧れも自覚し割り切る覚悟もできているので、見た目より大人だとは思います。真っ当な環境なら器量の良い子に育ったと思います。
 

■ユキマサ(東洋人の男)

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人と獣の境界にいる男。サイコパスの感情で推し量るのは無理なんであんまり出してほしくないんですよね。多分脳構造が違っているので、人であろうと頑張っているのは超凄いんだとは思います。
 
ただ呪われるのは当然としか言えません。片腕切ったやつを許せるかと言ったらまぁ無理でしょう。ただ迫害され続けてきた人生と、人でありたいと鎖を願っていたことを考えると、哀れに思うのも事実なので、仕方ないから許してやるかぁ…という気持ちにはさせられます。
 

■ポーリン

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ごく普通の生活と結婚に憧れる女性。作中で唯一の真っ当な人間です。施設の経営状況を度外視して施しを与えるなど、少し行き過ぎた部分はありますが、その根っこは将来を選択しなかったアイデンティティーの欠落によるものなので、聖女ではなく理解できる範囲の善人です。
 
「The second dorr」に関しては、べステアギミックの為に存在しているように感じたので、全体的に印象が薄いです。単純に他のキャラクターに比べてパンチが弱いというのもあります。
 

■ヤコポ

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冷徹な野心家とみせかけて、本質は愛に熱いイタリアの男。ただ好きな女に幸せになって欲しいだけなのに、打つ手全てが裏目になるのは哀れとしか言いようがない。彼の物語はまさしく恋愛悲喜劇。
 
恋と友情を信じる様があまりに実直すぎる。魂開放の瞬間でも笑ってほしいとモルガーナに願う彼は情に熱すぎて、とても嫌いにはなれない。モルガーナの次に好きなキャラクターです。
 

■マリーナ

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直情的お姉さん気質な女性。「The third dorr」での外道っぷりは中々でしたが、実際はただ巻き込まれただけの完全な被害者で、恨まれる道理が微塵もないのが酷い。やっぱ呪いって禄でもないな。

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