沈みゆく世界でヒューマノイドと恋する44+1日。
ライトでありながら魅力たっぷりなロープライスの秀作。
※後半ネタバレあり
ライトでありながら魅力たっぷりなロープライスの秀作。
※後半ネタバレあり
攻略順
<実攻略順>
GOOD → BAD → TRUE
<推奨攻略順>
最後の選択肢でGOOD or BADに分岐します。
どちらを前に持ってくるかはお好みでどうぞ。
どちらを前に持ってくるかはお好みでどうぞ。
感想(概要)
〇ヒューマノイドとして魅力あるヒロイン
本作唯一のヒロインであるアトリは、「人の模造物」であるヒューマノイドですが、その設定にちゃんと意味がありました。可愛らしくありながら、ちゃんと「非人間」に意義のあるヒロインでした。
〇光を巧みに使用したCG
本作のCGはどれをとっても美しく、特に光の使い方が極まっています。水の反射、木漏れ日、夕日、星明りと魅力的なところは枚挙に暇がないです。暗いシーンでは逆に光源を失くすという、逆の使い方も見事でした。
△SF色は軽めのシナリオ
ヒューマノイドの意識や心をテーマとして扱ってはいますが、深堀はされておらず、夏生とアトリのお話の一要素に過ぎない感じです。終末的な世界観ですが、SFはオプションに過ぎず、恋愛ADV色が強い作品になります。
まとめ
CGの美麗さもさることながら、シナリオも起伏ありで、手堅く纏っており、それでいてアトリちゃんに存分に萌えられる、死角の無い出来となっています。同時に出た徒花異譚といい、2000円程でこのクオリティは凄いですね。
沈みゆく世界、ヒューマノイドと設定自体は広大さを感じますが、癖も少なく、彼と彼女の一夏の枠に収まっているので、難しく考える要素もなく、ライトで万人受けする内容かと思います。
ただ個人的には、ヒューマノイドの意識や心といったテーマは好きですので、ライターの性癖全開で、ガッツリしたものが読みたかった気持ちはあります。まあロープラに求めるところではないですので、それは次作以降に期待します。
※以下はネタバレ有感想です。
感想(ネタバレ有)
■アトリ
自称「高性能」なポンコツヒューマノイド。「意識、心」を持つ技術的特異点の先の存在。
ヒューマノイドらしからぬポンコツさにkawaiiしていましたが、「お久ぶりです。大きくなりましたね」はガチ恋一歩手前でした。夕陽の演出が犯罪過ぎる。あんなこと言われたら誰だって恋をしますよ。
その後のログを見てしまうシーンは、告白後の表情、声のトーンを思い返すと、心が無いというのは、逆に腑に落ちたくらいなのですが、それでも直接言われると、日常シーンが効いてきてこうクルものがありますね。(でもそっけないのはこれはこれで良い)
まぁ結局は、その心が無いことすら偽っていてとっくに心を持っていたわけなので、私は頓珍漢なことを考えていたわけですけどね。こんなに振り回されたのは久々ですね。良いヒロインでした。
後は、最後の靴がボロボロであることに言及する部分も気に入っています。「足」の役割を果たした何よりの証拠で、非常に洒落てると思います。ヒューマノイドとしての彼女へのリスペクトを感じます。
本作での意識について
本作での意識は「飽くなき生への執着」として描写されているところがあります。この設定は個人的に特に気に入っている部分であり、人間の根源的欲求と、ロボット三原則が、上手く紐づけられているなと感じました。
何度かアトリから自死ができないと発せられていますが、これは三原則の自己防衛によるものだけではありません。
我々が本能で理由なく死にたくないように、彼女もまた同様に、死にたくないからスクラップになる前に逃げただけです。作中で言われていた、未練があるからは、後からついた理由に過ぎないと思っています。
理由なく生きること、それこそ心ある者である証拠に他なりません。であれば同じく本能である恋をすることに、何の理由も要りません。意識さえあればヒューマノイドも理由なく恋をする。こういう考えが私は好きです。
最後の1日
夏生は電脳空間にダイブし、最後の1日をアトリと過ごします。非常に私好みの展開で、この過程だけで1本書いて欲しいぐらいです。それだけに、さらっとしか描かれていないのは実に惜しいです。
こと電脳世界において肉体と意識(精神)は、分かたれており、肉体を離れた時点で、人と意識あるヒューマノイドとの差は皆無です。最後の彼と彼女は真に同格の存在であると考えると、中々にエモくありませんか?
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