プレイ中:幻想牢獄のカレイドスコープ2

MUSICUS!(ムジクス) 感想

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制作 :OVERDRIVE(公式サイト) 
ランク:A 

音楽に救われ、そして呪われた者たちのお話。
主人公「対馬馨」の人生を追体験することで、その一端を垣間見る作品。
※後半ネタバレあり。

×2019年のゲームとしては低水準
ショートカットキー設定、バックログジャンプ、シナリオジャンプ、全部無いのはちょっとロック過ぎますね。

攻略順

<実攻略順>
弥子 → めぐる → no title(BAD) → 三日月
<推奨攻略順>
上記に同じです。

感想(概要)

読ませる力がある文章
瀬戸内氏の文章は初体験ですが、流石に評価されるだけあります。盛り上がってくると思わず読み進める手が止まらず、気がついたら酷い時間だったことが、ままありました。
△演出はいまひとつ
折角ロックをテーマにしているのですから、ライブをもっと演出で盛り上げてほしかったです。でも自動オートは、特別感を感じられるので良かったと思います。
〇考察のし甲斐があるシナリオ
音楽を通した人間関係の変化がダイナミックに描かれています。その変化が主人公の音楽に、人生に影響してくるので、どのルートも色々考えながらプレイできたので楽しかったです。(疲れもしました)

まとめ

趣味に合わない部分もありましたが率直に言って面白かったです。もう少し若ければ人生観に影響が出たかもしれませんね。ちなみに過去作未プレイでも本作を楽しむ上で特に問題なかったです。
こういう人の強い感情が出てくる作品は幾つになっても良いものですね。普段味わっている恋心の機微とはまた違った味わいがあります。そういった感情を味わえた本作には大変満足しています。
※以下各ルートネタバレを含みます。
 
 
 
 

感想(ネタバレ有)

■尾崎 弥子

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定時制のユニークな仲間たちと文化祭バンドを楽しめるこのゲーム唯一の学園青春。ライブの一体感と楽しさが卒業の寂しさをより際立ているのがいいですね。いいキャラも多かったのですがこのルート以外では出てこないのが残念です。
未練を理性で押さえつけ現実的な選択をしたため、馨の心から距離が最も遠くなり音楽に対しても最後まで傍観者でしたが、それだけに「音楽は楽しい」を俯瞰できているのかなと思います。何ごとも深みに嵌れば嵌るほど一意な感情だけでは表現できないものです。
父親のせいでレールから外れ学生でありながら働かなければならないのに、腐らず正しくある彼女ほど強いヒロインはこのゲームにはいません。MCが様になっていたり実際かなりスペック高いですよねこの娘。

■高坂 めぐる

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ライブそのものの魅力に取りつかれた刹那主義者のお話。何もかもが辛く苦しい世界でライブをしている間だけ幸福でいられる。そんなキリギリス達を救うロックの本懐を描いたルートといっても過言ではありません。
朝川周の一生が幸せだったかどうか分かりませんが、音楽が救いであったことは疑いようがありません。今際の際にすら助けられています。心の空を埋めてくれる「弱者のための音楽」が確かにこのルートにはあります。
ただ、キリギリスであることを選んだ以上、心の穴を埋めきることは許されないのでしょうね。最期まで肉親に合わなかったのはそういう意味に感じました。正道を行くアリさんより幸せになることはないということなのでしょう。

■来嶋 澄(no title)

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花井是清をエミュレートし音楽に呪われる暗闇へのパスポート。全てを投げうっても才能の無い者には靡かない音楽の悪魔性と、それを求めてしまうアーティストの業がにじみ出ています。
個人的には馨らしい選択肢を選ぶとこのルートになってしまうような気がします。一番「力」を感じるのでこのルートが一番好きです。
客観的にみるとメンヘラのヒモになり、独善的で生産性の無い作曲もどきに明け暮れ、果ては恋人の死すら音楽の糧にする。一見救いの無いお話に見えます。
ただ、馨の主観としては本当に救いが無いんでしょうか。彼は心を揺さぶる強い衝動を得て人並みに感動したがっている節があります。求めていた衝動に在りつけたのですからこれを幸福と呼ばず何と呼ぶのでしょうか。慟哭する彼を見て素直に「よかったね」と思った程です。
そんな中で生まれた「no title」の劇中評価は気になってしまいますね。まぁ独りよがりなのは変わらないので、このルートでの他の作品の評価と同じだと思いますが。
他にも三日月も相当気になります。かなり危ない状態なのではないでしょうか。経験を得て馨を吹っ切れた可能性もありますが、三日月ルートで言っていたように自殺を考えていてもおかしくないです。

■花井 三日月

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バンドが社会的成功を収め、音楽の正体にたどりつくメインルート。考えうる中でのベストエンド見えますが、全ての成功は三日月あってのことなので、結局音楽の神は才能を愛するんだなという無常観を感じたりもします。
このルートの音楽とは自分の心、ひいては自分自身そのものを空気に振動させることであり、他者によって価値を生むものになっています。明確に天才とされている三日月、倫はこれを自然に認識しているので、「誰か」に聞いてもらうことへの拘りが強かったりします。
馨はその答えに納得できていないと思いますが、音楽に近い他ならぬ三日月の答えだから受け入れられるのではないでしょうか。そもそも彼女に神探しを投げているので、その答えを疑う資格がありません。
最後に馨と三日月が婚約解消していましが、これには少し思うところがあります。とはいうのもアシッドアタック後から結婚して一緒に暮らしている日々に特別な価値を感じているからです。有体に言えば超好きです。
二人とも何よりも音楽が重要だからお互い納得して分かれたことは頭では理解出来ています。けど残念ながら感情が納得してくれないのでそこはこのルート嫌いです。

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